2022-11-08

礼法のススメ、稽古の組手、スパーリングで「参りました。」と言えることの大切さ

　稽古での組手、スパーリングで的確な技をもらった場合、その技が相手のコントロールが効いたもので自身にダメージがない場合は、一旦組手、スパーリングを中断し礼を示すべきです。

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　上の添付動画のように、効いてないからといって打ち返すべきではありません。
　添付動画で打ち返せるのは、ヘッドギアを付けているうえに突きの威力のコントロールをしているからです。

　このタイミングで威力をコントロールをせずに、なおかつヘッドギアがなければ倒れるほどのダメージを負うのは確実です。
　礼として示すべきは相手のコントロールへの謝意であり、礼は技をもらったシーンでの自身の技量の拙さを素直に認めることになり、自身の技量の拙さを素直に認める礼の心が「次はもらわないにしよう。」「もらわないためには何をすべきか ?」との考察になり、その考察が自身の技量を高めるものとなります。

　動画は我々の空手の通常のスパーリングのものではありませんが、我々の空手の組手、スパーリングルールでは同様なことが上段への蹴りの被弾に対してよく起こります。

　上段への蹴りをコントロールして寸前で止めたり、軽く当てたりすると蹴りの引き足や蹴りの姿勢を直す動作が一瞬遅れます。
　私も何度かありますが、その隙に乗じられ足を掴まれて投げられたりしますが、上段へのインパクトを止めた蹴りを掴まれたり、投げられたりするのは重大な怪我を負うリスクが生じます。
　技をコントロールした者にとっては相手への配慮が仇になりますが、そのような礼が失われた最悪の状況が生じる最大の原因はコントロールされたものに余裕がなく、コントロールされたことを認識できないためです。

　私は稽古ではライトスパーリングを推奨する空手指導者ですが、ライトスパーリングを推奨する一番の原因は怪我の予防であり、怪我の予防に付随して余裕を持ったコントロールした組手、スパーリングでその都度の攻防を考察し技量向上へと繋げるためです。
　稽古でライトスパーリングが出来ないのは、余裕がないからであり、その余裕が持てないのは勝ちを意識しすぎるからです。
　ライトスパーリングでも勝ちを意識して、攻防を自分優位に進めていくことは技量向上のため必要です。
　しかし最初から勝てるものでなく、また誰にでも勝てるものでもありません。
　勝ちを意識しすぎることは一生懸命さの裏返しの面もあり、その一生懸命さは否定には当たりませんが、勝ちへの過剰意識は技量向上を先とせず、最初から勝とう、誰にでも勝とうとする、傲慢さの裏返しの一面でもあります。

　一生懸命さが傲慢さとなった場合に礼は失われます。
　空手は礼を一番大切にすべき武道であり、一生懸命さを傲慢さへと変質させてはなりません。

　空手の稽古での組手、スパーリングでは勝ちに対して過剰意識を持たずに、余裕を持つことに一生懸命さを向けるべきに私は思います。
　添付動画のような状況では、ボクシングやキックボクシングではグローブタッチが礼を示す礼法となってますが、空手の場合は「参りました。」と声を発するのが礼法です。
　新極真会徳島西南支部では、稽古の組手、スパーリングで「参りました。」と言える道場生を増やして行きたいと思います。

　月曜日 (11/7) の阿南道場
　合同クラス 1 部 (18 時～19 時 )

　合同クラス 2 部 (19 時 15 分～20 時 15 分 )

　11.7.2022 記

新極真会徳島西南支部は随時入会者を募集しています。
興味のある方はお近くの道場に、お気軽に見学・体験にお越しください。
お問い合わせはホームページより、「逢坂(おおさか)道場」でご検索ください。
<徳島市の道場>
★徳島市加茂道場
稽古日…火曜日
稽古場所<加茂名コミュティセンター>
徳島市庄町5丁目48番地の5
少年部クラス…18時30分～19時30分
一般部クラス…19時45分～20時45分
稽古日…金曜日　
稽古場所<加茂コミュニティーセンター>
徳島市北田宮町4丁目6番60号
少年部クラス…18時30分～19時30分
一般部クラス…19時45分～21時15分
<吉野川市鴨島町の道場>
★鴨島道場
徳島県吉野川市鴨島町鴨島234<常設道場>
稽古日…水曜日
少年部フィジカルクラス…18 時 20 分～18 時 50 分
少年部クラス 19 時～20 時
一般部クラス…20 時 15 分～21 時 30 分
稽古日…土曜日
少年部アドバンスクラス…15 時 45 分～17 時 15 分
選手クラス ( 小 5 以上 )…17 時 30 分～19 時
一般部クラス…19 時 15 分～20 時 45 分
<美馬市美馬町の道場>
★美馬道場
徳島県美馬市美馬町字大泉51-1
<常設道場・旧重清東小学校>
稽古日…木曜日
少年部クラス…19 時～20 時
一般部クラス…20 時 15 分～21 時 30 分
稽古日…土曜日
合同アドバンスクラス…10 時～11 時 15 分
<阿南市の道場>
★阿南道場
稽古日…月曜日
稽古場所 < 黒津地コニュニティーセンター >
阿南市黒津地町新弥開16-1
合同 1 部クラス…18 時～19 時 15 分
合同 2 部クラス…19 時 30 分～20 時 45 分
アドバンスクラス…21 時～21 時 30 分
稽古日…土曜日
稽古場所 < 阿南市武道館 >
徳島県阿南市大潟町210-56
合同クラス 1 部…18 時～19 時
合同クラス 2 部 ( 選手稽古 )…19 時 15 分～20 時
<三好郡東みよし町の道場>
★三加茂道場
三好郡東みよし町加茂西庄　　
<三加茂町農業者トレーニングセンター>
稽古日…水曜日・金曜日
合同クラス…19 時 30 分～20 時 30 分
<三好市池田町の道場>
★池田道場
三好市池田町三縄<三縄公民館>
土曜日
合同クラス…19 時 30～20 時 30 分
少年部クラスは小学生以下、一般部クラスは中学生以上、合同クラスは少年部、一般部が対象です。
希望者は小学生でも一般部クラスでの稽古は可能です。

2022-11-07

試合のススメ、息の長いサポートを続けることで感じる子どもの成長

空手のススメ

　昨日の日曜日 (11/6) は丸亀市空手道錬成大会でした。
　運動会のような大会がコンセプトの大会でしたが、そのコンセプト通り組手、型以外でも 3 本組手、移動稽古の競技部門があり、またお菓子で作った敢闘賞トロフィーなど参加者が喜ぶ趣向もあり、素晴らしい大会でした。

　空手の試合、特に我々の空手の試合は出場するのにも勇気が要るものですが、参加しやすい大会を設け、参加者の勇気を後押しすることは、とても意義のある事だと思います。
　主催された原内師範、素晴らしい大会に参加させていただきありがとうございました。
　また運営にあたった原内道場のスタッフの皆様も、ありがとうございました。

　さて新極真会徳島西南支部からは、19 名が出場、そのうち型でミツキちゃん、ハナちゃんが 2 位、イロハちゃんが 3 位、組手でミオちゃん、リョウト君、ルイト君、イロハちゃん、ミツキちゃんが優勝、ソウシロウ君が 2 位、コウダイ君、アルト君、エイタ君、レント君が 3 位でした。

　入賞には至らなかった子たちも良く頑張っていましたが、勝って奢らず、負けて腐らず、皆んなにはまた試合を頑張って欲しいと思います。

　さて近年の空手の大会の様相は、私が 20 代の頃に比べて随分と様変わりしました。
　今の大会は少年部の子ども達の参加が圧倒的に多いですが、私が若い頃は少年部の参加は少なく、20 代の若者の参加がほとんどでした。
　そのため選手のサポートも私が若い頃は選手の同年代の先輩、後輩、同輩でしたが、今の大会のサポートは選手の保護者となっています。
　私も息子のサポートして来たので良く分かりますが、子どもの空手の試合のサポートを長年続けていくと子どもの成長がよく分かります。

　我々の空手の試合は冒頭に書いたように、組手試合でノックアウトもありえるもので試合に出場するだけで勇気が要るものです。
　ある意味、勇気が試される一面があるので、子どもの気持ちの強さ、弱さがよく分かります。
　最初は気持ちの弱かった子も試合を重ねることで強くなって行きますが、そういった精神面の成長は今大会に出場した道場生においても見られました。

　親が子どもに願うことの一つには、社会の荒波を乗り越えていける精神面の強さを身に付けることにあると思います。
　空手の試合は子どもをサポートする保護者にとって、その親の願いに叶うものだと思います。

　誰もが最初から精神的に強い訳ではありません。
　精神面の強さは、空手の場合、稽古を重ねる年月とともに高まるものです。

　お子さんの空手をサポートする保護者の方においては、お子さんの成長に合わせた息の長いサポートをしていただきたいと思います。
　息の長いサポートを続ければ、きっとお子さんの成長を感じることができると思います。

　丸亀市空手道錬成大会に参加した新極真会徳島西南支部の道場生の皆んな、昨日はお疲れ様でした。
　昨日も皆んなが良く頑張りました。
　保護者様のサポートの元、また次の試合も頑張ろう !!

　保護者の皆様もお疲れ様でした。
　今後もサポート、よろしくお願い致します。
　11.2.2022 記

2022-11-04

演武のススメ、責任感の伴う役割を、心の成長に反映する気持ちの強さへと

空手のススメ

　今日よりブログの内容をリニューアルすることにしました。
　ブログのタイトルも〝逢坂道場日記〟から刷新し、〝空手のススメ、徳島の田舎道場から〟と変更しました。
　これまでの日記風の雑感から、空手の稽古、礼儀、技術など空手に関する様々な事を私、逢坂の観点から掘り下げて、それを空手のススメとして空手をしている人、していない人を問わずにお伝えしたいと思います。
　空手のススメとして、たくさんの人に空手の素晴らしさを知っていただければと思いますが、このブログを読んていただける皆様、よろしくお願い致します。

　さて、リニューアル最初の空手のススメは演武についてです。
　祝日の昨日 (11/3) は道場の稽古はお休みでしたが、今月行う 2 回の演武会のリハーサルを行いました。

　演武会には 6 年生の上級者の皆んなが出演しますが、新極真会徳島西南支部の演武は音楽を用いて演武を演出します。
　音楽はたいてい 3 曲の流行曲を用いますが、曲ごとに 1 曲目は稽古で行う基本、移動、2 曲目は型などと構成します。
　演武を音楽で演出し、音楽に合わせて演武を構成するためリハーサル練習が必要となりますが、昨日は 2 時間強のリハーサル練習、いつもの稽古よりもキツかった面もあったと思いますが、皆んな良く頑張りました。

　新極真会徳島西南支部の演武は演出を加えて少し凝ったものとして披露していますが、そうする理由は道場生が行う演武を単なる余興としないためです。
　曲ごとに構成する演武では曲の時間内に演目を演じなければならず、また演武参加者には杉板の試し割りを全員に課していますが、試し割りは成功させねばなりません。

　新極真会徳島西南支部の演武では、参加者それぞれが責任感を伴う役割を負います。
　また責任感の伴う役割を演武を見るお客さんの前で行わければなりませんが、衆目の前で責任感の伴う役割を演じることは緊張感のあるプレッシャーとなります。

　新極真会徳島西南支部の演武は、出演する道場生にプレッシャーを与えるものですが、そのプレッシャーは道場生の空手における経験値を高めるものとして演武を単なる余興とせず、道場生の稽古の一環としています。
　演武を稽古の一環として、それによって高まる経験値は、人前でも堂々と振る舞える気持ちの強さとして、道場生の心の成長に反映するものと思います。

　出演する皆んな、演武当日は堂々と振る舞えるように頑張ろう !!

　昨日のリハーサル、お疲れさまでした。
　また付添いの保護者の皆様もお疲れ様でした。
　演武当日は、お子さんたちの勇姿を目にしてください。

　< 演武会の案内 >
トヨタカローラ徳島さんの感謝祭
　日時…11/11 ㈯、11 時～、12 時～の 2 回演武　演武時間…約 12 分
　場所…トヨタカローラ徳島本店 ( 〒770-8011 徳島県徳島市論田町本浦下 67-1)

　山人の里イルミネーション点灯式
　日時…11/26 ㈯、17 時～18 時の間の時間帯　演武時間…約 12 分
　場所…山人の里 ( 〒779-3600 徳島県美馬市美馬町狙ヶ内 26 < 旧重清北小学校 >)
　※なお山人の里への一般来場者の方の車の乗り入れは出来ません。当日は道の駅みまの里 (〒771-2105 徳島県美馬市美馬町願勝寺 72) から 16 時 30 分より 40 分おきにシャトルバスが運行されますのでそちらをご利用ください。

　11.4.2022 記

2022-11-02

感覚としてのディフェンスセンスを高めるために

新極真空手

　私が指導する通常クラスでの定番メニューになっている、受け返し棒を使った受け返し。

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　昨日は前足、奥足と棒を打ってくるのを、組手での相手の右左の下段回し蹴りに見立てて、それを右左のステップで躱して左下段を返すバターンを。

　受け返し棒を使った受け返しでは、特に一般部クラスでは棒を持つ仕掛け手、返し手、両者に細かい注意点を指導します。
　注意点は、毎回の稽古ごとに設定を変える受け返しのパターンの注意点、例えば添付動画ならばステップを相手を中心に円を描くように踏むなどの他に、それ以外の仕掛け手の棒の持ち方、また返し手の目線など、様々なパターンの受け返しに共通する、受け返し稽古の基本的な注意点にも及びます。

　その基本的な受け返しの注意点の一つには、返し手の最初の立ち位置があります。

　パターン最初の返し手の立ち位置は、仕掛け手の持っている棒が届かない距離に立つ事を私は指導しています。
　受け返しは言わずもがなディフェンス練習ですが、ディフェンスは防御が必要とする瞬間に反応する反射能力が最も重要に私は思います。
　ゆえにディフェンス練習は、防御が必要とする瞬間を設定しなければなりません。
　その防御が必要する瞬間とは、最初から相手の攻撃が届く位置にいる状況ではなく、最初は相手の攻撃が届かない位置にいて、そこから相手が攻撃が届く位置へと距離を詰める、距離変化の瞬間にあると私は思います。

　受け返し稽古を行うと最初から相手の攻撃が届く位置にいる道場生が散見されますが、そういった道場生にはディフェンスセンスの希薄さを感じます。
　上記のディフェンスセンスの〝センス〟とは、才能を意味するセンスでなく、感覚としてのセンスです。
　感覚としてのディフェンスセンスは、返し手の最初の立ち位置のみならず、前述した仕掛け手の棒の持ち方、返し手の目線などの受け返し稽古の基本を注意深く、反復していくことで高まるものだと思います。

　私が指導する稽古では、暴漢に襲われた時に対処する、いわゆる護身術をほとんど行いませんが、護身術などはディフェンスセンスがなければ本来機能しないもののにように私は思います。
　感覚としてのディフェンスセンスがあれば、それ自体が護身術となり、ディフェンスセンスは空手の色んな用途に必要なものに思います。
　道場生のディフェンスセンスを高めて行きたいと思います。

　< 支部内連絡 >
　明日 (11/3 ㈭ ) の美馬道場は祝日のためにお休みです。
　また明日は 11/12 ㈯、11/26 ㈯に行う演武会のリハーサルを行います。
　演武会に出演する道場生の皆さんは、よろしくお願い致します。

　火曜日 (11/1) の徳島市加茂道場
　少年部クラス (18 時 30 分～19 時 30 分 )

　一般部クラス (19 時 45 分～20 時 45 分 )

　11.2.2022 記

2022-11-01

空手の指導者として、混同してはならないと思う、子ども達の〝素直さ〟と〝従順さ〟

新極真空手

　少年部の子ども達が稽古の要点をしっかり聞き取り、その要点を忠実にキビキビとした動きで私の号令化の元、集中して稽古している姿を見るのは、私は空手の指導者として満足を覚えます。
　ただ、その満足のあり方には、注意をしなければと思います。

　注意すべき一点としては、満足を子ども達の素直さに感じることであり、子ども達の素直さを従順さと混同し、子ども達に従順であることを求めてはいけないと思う点です。
　子ども達の素直さと従順さは混同しやすいものであり、時にその混同が指導者と子ども達とのトラブルに発展するように思います。

　空手の稽古における子ども達の素直さ、または従順さは冒頭に書いた様な稽古の雰囲気に現れるものであり、素直さと従順さの雰囲気は良く似たもので判別しにくいものだと思います。
　しかし素直さと従順さの雰囲気の発せられる元は違うもので、それはよくよく稽古を見渡せば感じ取れるものだと思います。
　私は子ども達の素直さは、子ども達自身から発せられる雰囲気であり、子ども達の従順さは指導者から発せられるものだと思います。

　子ども達の空手の稽古は、子ども達の素直さが感じ取れる稽古であるべきに思います。
　先に書いた様に、子ども達の素直さと従順さは混同されやすいものですが、それは素直さ、従順ともに強制されるところにあります。
　従順は強制をニュアンスとして含むものですが、素直さは一見強制とは相容れない感があります。
　しかし空手においては、素直さは強制されてしかるべきと私は思います。

　空手で素直さが強制力される理由は、空手においては素直さが〝礼〟であるからです。
　空手を学ぼうとして稽古に参加することにおいて、指導者の言葉を素直に聞き入れることは当たり前の礼です。
　空手は礼を正すことが何よりも大切な武道であり、礼の乱れた、もしくは存在しない空手は空手ではありません。
　礼を何よりも重んじる空手として、素直さを礼として強制するからには、素直さとしての礼は理によって導かれるものであるべきに思います。

　私が子ども達の素直さに、満足を覚えることで注意を心掛けているもう一点は、子ども達の空手の稽古で見せる素直さを稽古の効果として形に表せなければならないと思う点です。
　素直さが稽古の効果として形に表れてこそ、その素直さは理のある礼によって導かれたもののように思います。

　空手において稽古に対する素直さが形として表されるべき最大なものは、私は組手、スパーリングと思います。
　その形は強さだけでなく、組手、スパーリングに対する心の持ち様も多分に含みます。
　子ども達の素直さへの、指導者としての満足を形とすべく、子ども達への指導の言葉には理を含ませ、理にのっとる礼を正した稽古指導を心掛けたいと思います。

　月曜日 (10/31) の阿南道場
　合同クラス 1 部 (18 時～19 時 )

　合同クラス 2 部 (19 時 15 分～20 時 15 分 )

　11.1.2022 記

2022-10-31

理解出来ないことに感じる不安と可能性

新極真空手

　農業を営んでいる 80 歳を過ぎた方に「もう農業のことは何でも分かるでしょう ?」と尋ねたところ、「そうでもない。」「お天道様、相手のことだから」と言葉短に語られた、そんなお話を先日伺いました。
　その方は先祖代々の農家の方で、昔は子どもの頃から家の手伝いをするのが当たり前の時代、それこそ 80 年間、農業に携わってきたような方で、地域では農業の生き字引のような存在とのことです。
　〝農業はお天道様相手のことだから、80 年間携わっても全てを理解することは出来ない〟と、解することの出来るこの言葉に私は深い感銘を受けます。

　私が携わる空手においても、私は上記の言葉は通じると思います。

　空手は何かにつけて、総じて人と対するものです。
　人もお天道様同様に、全てを理解することは不可能のように思います。
　全てを理解することが不可能、それは悪いニュアンスで捉えがちですが、良いニュアンスでも捉えられます。
　悪いニァンスの捉え方としては理解が出来ないから、何をして良いか分からない、または何も出来ないといった捉え方。
　良いニュアンスの捉え方としては理解することが出来ないから、何が良い事として起こるか、また何が出来るようになるか、といった可能性を感じることの出来る捉え方です。

　農業に対するお天道様の位置関係を空手に対する人とし、人の対象を自分自身とした時、私自身が理解することが出来ない事柄としては「50 歳を迎えてこれから加齢に伴い体力が衰えていく中で、自身の技がどう変化していくのか ?」。
　また「また自身の技の変化に伴い、これまで道場生に指導してきた事が正しかったのか」という、疑念が生じてくるように思うところです。

　自分自身が自身に対して理解出来ないことに、不安を感じることもありますが、やはり可能性に感じることもあります。
　もし「不安なのになぜ可能性を感じることが出来るのか ?」と尋ねられれば、私は「空手の稽古という現場がいるからです。」と答えます。
　現場は現実をもたらす場ですが、その現実こそが理解すべき事柄であり、現実への理解が可能性をもたらす手段になり得ると私は思います。

　前述の農業の方の「お天道様相手だから」という言葉にも、現場に立つ人の言葉の重みを感じます。
　農業に対するお天道様の位置関係を空手に対する人に置き換えた時、空手では対象となる人が自分自身以外にも広がります。

　例えば空手の指導者である私においては道場生もその人の対象になる訳ですが、道場生の全てを理解するつもりにならず、また理解しようとせずに、その理解の及ばないところに可能性を見出して行きたいと思います。

　土曜日 (10/29) の美馬道場、鴨島道場
　美馬道場・合同アドバンスクラス (10 時～11 時 15 分 )

　鴨島道場・少年部アドバンスクラス (15 時 45 分～17 時 15 分 )

　鴨島道場・選手クラス (17 時 30 分～19 時 )

　鴨島道場・一般部クラス (19 時 15 分～20 時 45 分 )

　鴨島道場・居残りクラス (21 時～21 時 45 分 )

　10.31.2022 記

2022-10-28

空手の血が宿す〝体が忘れないもの〟心の拠り所

新極真空手

　長いブランクのある道場生が久しぶりに稽古参加したり、稽古に復帰した時「ブランクの割には動けるな」とよく思います。

　先日のブログで「空手の血」というものを書かせてもらいました。
　「空手の血」は長い年月の間、厳しい稽古によって学ぶ、忍耐や人への優しさなどを成分に培われるもので、空手の血は稽古から遠ざかっても道場生の体内を循環し続け、空手の血が道場生の人生を全うなものに導くよう、空手の指導者は心掛けるべきに思います。

　その空手の血は、自分の人生の道筋を示すのみならず、道場生の体内に〝体が忘れないもの〟を宿すようにも思います。
　ブランクのある道場生がブランクをあまり感じさせないのは、空手の血が宿した〝体が忘れないもの〟が道場生の体内に確かに存在しているからに思います。

　話は変わりますが、人は心の拠り所を求めるものです。
　自分の「心の拠り所が何なのか ?」と考えた時、その答えを求めるのに考えるのみに止まらせてしまうと、答えを他者に求めてしまいがちになると思います。
　自分の心の拠り所を他者に求める最もな例が、私は宗教だと思います。
　心の拠り所を宗教に求めることは、その宗教が真っ当なものならば悪いことではありません。
　しかし世の中、真っ当な宗教ばかりではありません。
　それは、今のニュースや新聞を騒がせている問題から見ても明らかです。
　自分の心の拠り所を考えるのみに止め、それを他者に求めることにはリスクがあります。
　そのリスクを回避するには、自分の心の拠り所を考えて、そして「心の拠り所が何なのか ?」と自身で感じることが大切だと思います。
　考えて、感じることのできる心の拠り所は、往々にして自分自身の内にあります。

　その自分自身に感じる心の拠り所に、私は空手の血が宿す〝体が忘れないもの〟はなり得ると思います。

　〝体が忘れないもの〟は自分自身に存在する確かなものであり、その確かな存在ゆえに、心のいわゆる〝拠り所〟になると私は思います。
　心の拠り所の〝拠り所〟は本来、止まるところでなく、自分の心を広げていくための拠点であるべきに思います。

　道場生、特に長い年月の間、空手を頑張った若い道場生には、自分の心の拠り所を〝自分の体が忘れない〟空手に感じてもらい、空手を心の拠点として自分の心を広げる、自分の可能性を広げるべく、自分の人生を歩んで欲しいと思います。

　木曜日 (10/26) の美馬道場
　少年部クラス (19 時～20 時 )

　一般部クラス (20 時 15 分～21 時 30 分 )

　10.27.2022 記