空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

時間効率のススメ、我々の空手の風格と趣きを一対となす

 先ごろの徳島新聞の記事に書いてありましたが、時間効率が重視される昨今では、音楽ではサビの部分のみが強調されるように前奏の短い曲が好まれ、映画は倍速で見る人が増えているそうです。
 映画の場合、2 時間の映画を倍速で見た場合、1 本を見る時間で 2 本楽しめることが時間効率だったりするそうです。
 効率的に音楽や映画を鑑賞することで、音楽では「前奏の短い曲で曲全体の雰囲気が伝わるのか」、映画では「登場人物の会話の間合いなど全く意味がないのではないか」と音楽や映画の識者は憂慮し、効率的な音楽や映画鑑賞が、その文化の衰退に繋がるのではないかと危惧しているそうです。

 私は音楽や映画に深い造詣がある訳がなく、そのセンスもありませんが、確かに効率的な音楽や映画鑑賞では、音楽や映画の全体的な〝趣き〟は感じ取れないように思います。
 私のようなものでもサビに至る歌詞やメロディーに心が動いたり、主人公のちょっとした表情にその心情を感じたりするものです。
 音楽や映画鑑賞に効率は、必要のないように個人的には思います。

 音楽や映画鑑賞に必要のない時間効率ですが、空手の稽古に私は時間効率を求めています。
 選手現役時代には、前述の効率的な映画鑑賞のように「人が 2 時間かけてする練習を 1 時間でしよう」などと考えていました。
 練習に時間効率を求めた理由は、仕事等で練習時間が取れなかったのと、長い練習が肌に合わなかったことにありましたが、2 時間の練習を 1 時間に集約するのには、練習に不必要に思う時間の浪費などは嫌厭しました。

 練習中の談笑などは無駄口と嫌厭し、それが態度に出るものだから「時にはピリピリして感じが悪い」と苦言されたこともありました。
 選手を引退し、自分の練習に固執しなくなった今は、道場生への稽古指導などでピリピリした雰囲気は出していないと思いますが、その名残りは今もあると思います。

 選手現役時代、私が時間を浪費する無駄口とした稽古中の談笑などは、今、視点を変えて考えると音楽や映画の趣きのように空手の趣きとなるかも知れません。
 空手の趣きを〝人の和〟などとする場合には、稽古中の談笑を無駄口とする、私の考えは誤りのように思います。
 しかし空手の趣きは、人によって様々に定義されて良いものと私は思います。

 〝趣き〟は味わい、面白みといった事ですが、スポーツ的なチームプレイ感覚などに感化された人は空手の趣きに、前述のように〝人の和〟といった趣きを求めても良いと思います。
 私は別段、空手の趣きに人の和などを求めたりすることを否定しませんが、私は空手の趣きを人の和のような、スポーツ的チームプレイ感覚なものでなく、個人から醸しだされる〝思いやり〟などの〝人への情緒〟に定めています。
 その情緒とは、スパーリング中に泣き出した対戦相手に加減をするなどの、強さを求める事から生じる厳しさの中で人に対して感じる情緒です。

 空手の最重要の本質は、強さを求めることにあると思います。

 空手の本質の中からこそ、空手独特のスポーツなどとは違う趣きは醸成されるものと思います。
 空手、特に我々の空手の昔の稽古の雰囲気には、談笑が飛び交うワイワイとした雰囲気は全国の道場でもあまりなかったと思います。
 どちらかといえば道場全体での言葉数は少なく、粛然、厳然とした雰囲気の中で強さを求めた稽古がされていたと思います。
 我々の空手の粛然、厳然とした雰囲気は我々の空手の流派としての風格となり、その風格は単なる雰囲気のみに止まらず、現代の空手技術を進歩させたものと私は思っています。

 時代の違い、少年部、壮年部が主体の道場生の現在の世代構成の違いにより、今は昔ほどの粛然、厳然とした雰囲気の稽古は時代にそぐわず、そのような稽古指導をしようとは私も指導者としては思いません。
 稽古の進行を妨げるほどの騒がしさがなければ、稽古の合間の談笑もあって良いものと思います。
 しかし我々の空手で築かれ、受け継がれてきた風格は、受け継いで行きたいと憚りながら思います。

 我々の空手の風格は、強さを求める姿勢から派生される趣きをともなうものです。
 〝強さは優しさなり〟〝優しさは強さなり〟とは、我々の空手でよく表現されるフレーズですが、〝優しさ〟という趣きは、我々の空手では〝強さ〟という風格と一対でなければなりません。
 我々の空手の風格と趣きを一対とすべく、道場生に「ピリピリしている」とは感じさせないほどに、昔、自身が強くなりたいと思って求めた練習の時間効率を、今の時代に合わせて求めて行きたいと思います。

 < ご案内 >
 明日 (3/4) の土曜日の美馬道場、鴨島道場の稽古は、私が同日行われる福岡支部の緑武士選手、南原朱里選手の結婚披露宴に出席にするためお休みです。
 また 2/12 に行われる香川県大会のトーナメントが、主催の原内師範のブログで掲載されています。
 出場者、保護者の皆様はご確認ください。
 2.3.2033 記

新極真会徳島西南支部は随時入会者を募集しています。
興味のある方はお近くの道場に、お気軽に見学・体験にお越しください。
お問い合わせはホームページより、「逢坂(おおさか)道場」でご検索ください。
<徳島市の道場>
徳島市加茂道場
稽古日…火曜日
稽古場所<加茂名コミュティセンター>
徳島市庄町5丁目48番地の5
少年部クラス…18時30分~19時30分
一般部クラス…19時45分~20時45分
稽古日…金曜日 
稽古場所<加茂コミュニティーセンター>
徳島市北田宮町4丁目6番60号
少年部クラス…18時30分~19時30分
一般部クラス…19時45分~21時15分
<吉野川市鴨島町の道場>
鴨島道場
徳島県吉野川市鴨島町鴨島234<常設道場>
稽古日…水曜日
少年部フィジカルクラス…18 時 20 分~18 時 50 分
少年部クラス 19 時~20 時
一般部クラス…20 時 15 分~21 時 30 分
稽古日…土曜日
少年部アドバンスクラス…15 時 45 分~17 時 15 分
選手クラス ( 小 5 以上 )…17 時 30 分~19 時
一般部クラス…19 時 15 分~20 時 45 分
<美馬市美馬町の道場>
★美馬道場
徳島県美馬市美馬町字大泉51-1
<常設道場・旧重清東小学校>
稽古日…木曜日
少年部クラス…19 時~20 時
一般部クラス…20 時 15 分~21 時 30 分
稽古日…土曜日
合同アドバンスクラス…10 時~11 時 15 分
<阿南市の道場>
★阿南道場
稽古日…月曜日
稽古場所 < 黒津地コニュニティーセンター >
阿南市黒津地町新弥開16-1
合同 1 部クラス…18 時~19 時 15 分
合同 2 部クラス…19 時 30 分~20 時 45 分
アドバンスクラス…21 時~21 時 30 分
稽古日…土曜日
稽古場所 < 阿南市武道館 >
徳島県阿南市大潟町210-56
合同クラス 1 部…18 時~19 時
合同クラス 2 部 ( 選手稽古 )…19 時 15 分~20 時
<三好郡東みよし町の道場>
三加茂道場
三好郡東みよし町加茂西庄  
<三加茂町農業者トレーニングセンター>
稽古日…水曜日・金曜日
合同クラス…19 時 30 分~20 時 30 分
<三好市池田町の道場>
★池田道場
三好市池田町三縄<三縄公民館>
土曜日
合同クラス…19 時 30~20 時 30 分
少年部クラスは小学生以下、一般部クラスは中学生以上、合同クラスは少年部、一般部が対象です。
希望者は小学生でも一般部クラスでの稽古は可能です。