空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

正しい身体の使い方のススメ、〝ありふれた〟ことにある正しい身体の使い方

 少年部クラスでよく行っているフィジカルトレーニングの手押し車。
 手押し車を行うものの要点としては、足の持ち手になるべく負荷をかけないことを指導しています。

 手押し車を行うものが前に進む時、体を揺らして進んだり、腹をマットにつくのように下げたりすると持ち手の負荷は高まります。
 体を揺らさないように、腹を下げないように進むためには体幹に力を入れることが必要となりますが、体幹に力を入れて体幹を強化することこそ手押し車の最大トレーニングポイントとなりります。

 トレーニングには何事でも、そのトレーニング効果を最大限引き出す〝正しい身体の使い方〟がありますが、手押し車では〝正しく身体を使う〟ことで持ち手の負荷を軽減させます。
 トレーニング効果を最大限に引き出したりするための〝正しい身体の使い方〟ですが、総じて〝正しく身体を使う〟ことは身体の状況を様々に変化させ、実際の体重は変わらないのに手押し車のような〝自分の身体を軽く使う〟ことが出来たりします。

 50 歳、メタボ、体重 3 ケタの私、リーチ差のある道場生相手のスパーリングですが、スパーリングにおける私の動きは、手前味噌ながら軽やかな自負が密かにあります。


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 スパーリングでしっかり動けるようにフィジカルトレーニングは欠かさないようにしていますが、体重 3 ケタの重い体の動きを筋力だけでカバーしている訳ではありません。
 また近年は加齢により、筋力で体重をカバーしきれない場面が増えており、その負担が膝や腰の痛みに出てきています。

 なのに、なぜスパーリングで軽快に動けるのか ?

 それは、私が自分の 3 ケタの体重を軽く使えているからだと思います。

 〝身体を軽く使う〟ことには極意があります。
 極意と書くと仰々しく思われますが、実際は大して大げさなものではありません。
 〝腰の高さを変えないように動く〟〝バタバタ足音させないように動く〟など、極意は空手の稽古で指導されるありふれた要点を、長年稽古すれば身につくものです。

 空手の稽古では〝蹴った足を接地させる際に足音をさせない〟といったことも、ありふれた要点として指導されます。
 この要点も〝身体を軽く使う〟極意となりますが、蹴り足を足音させずに接地させるためには、足裏のつま先から踵を順番に接地させる足捌きが必要となります。
 この足捌きは、接地の際に蹴った足にかかる重心の集約作用となります。

 蹴り足を接地させる際にドタったと足音のするような動き、またはバタバタとするような体全体の動きは重心が集約されておらず、動くたびに体のあちらこちらに重心が分散し、分散した重心は軽快でスムーズな動きを妨げる体の重みとなります。
 それに対し集約された重心は体の一点もしくは数点に動きにおける重心移動が集約され、その集約された点を動きの軸とすることができれば、重い体も軽く使うことができるもので、重心の集約作用が〝身体を軽く使う〟極意となります。

 空手の極意は、長年のありふれた空手の稽古の要点で身につくものです。
 また、ありふれた空手の稽古の要点は〝正しく身体を使う〟ことでもあり、〝正しく身体を使う〟ことは身体のあらゆる可能性を広げるものです。

 さて話は変わりますが、先週末、週の最後のクラス指導を終えた後、ある道場生が今春からの新生活の報告にご家族ともども来てくれました。
 その際、気の利いたはなむけの言葉も言えず、また一つ誤ったことを話してしまいましたが、その訂正をこのブログで語り口調に綴りたいと思います。

 先生 ( 私 ) は「50 歳まであっという間だった」と言ってしまいましたが、それは誤りです。
 やはり生まれて 50 年は長く、人の人生は長いものです。
 人の人生の長さは、そのまま人の可能性の大きさです。
 長い人生ほど、人の可能性は大きいものです。

 先生は空手を本格的に始めて 30 年数年、長い年月の稽古の中でありふれた空手の稽古の要点である〝正しく身体を使う〟ことを続けてきました。
 そのおかげで体重 3 ケタ、メタボの 50 歳になった今でも、道場生とスパーリングが出来るという可能性を手にしました。

 人の幸せに対する価値感は様々で、他人にとってはしょうもないことかもしれませんが、先生にとっては道場生とスパーリングが出来ることがこのうえない幸せです。

 身体を正しく使い、長い人生を歩んで行けば他人の価値観、世間の価値観とは合わずとも、おのずと自分だけの幸せが見えてくるように思います。
 正しい身体の使い方は、空手のありふれた稽古の要点のように、具体的な身体の使い方だけではありません。
 仕事、勉強、スポーツなど社会的に真っ当な自分が打ち込めることに一生懸命になること、また打ち込めることが見つからなくても、今、自分がやるべきことに一生懸命になるといった、それら〝ありふれた〟ことに、自分の生き方を正しくする〝正しい身体の使い方〟があると思います。

 道場生の皆さんには、正しく身体を使って欲しいと思います。
 皆さんの身体はお父さん、お母さんに産んでもらい、育て来てもらいました。

 親孝行の仕方はたくさんあると思いますが、一番の親孝行は〝正しく自分の身体を使う〟ことだと先生は思います。
 道場生の皆さん、正しく自分の身体を使って、長い人生を歩んでください。

 なとど、格好つけたことをブログで書いていますが、私自身、空手では正しく身体を使えていますが、これまでの人生では正しい身体の使い方をしてきませんでした。
 体重 3 ケタはやはり、正しい身体の使い方ではないかと…。
 そして、体重 3 ケタは人間として間違っているかと…。
 体重 2 ケタの正しい身体の使い方が出来るようになるためには、今、自分は何をすべきか ?
 今日は金曜日、ルーティンの青柳さんのパワーランチで糖質を摂取し、頭の働きを良くして考えたいと思います。

 < ご案内 >
 今週より、新極真会徳島西南支部ではマスク着用を道場生、見学の方も含めて個人の判断に委ねています。
 私、逢坂も個人の判断としてマスクは外して指導しています。
 関係者の皆様には、ご理解のほどをよろしくお願い致します。

 3/21 ㈫の徳島市加茂道場は祝日のためお休みです。
 関係者の皆様、よろしくお願い致します。

 新極真会北東あわじ支部さんとの合同稽古を下記の通り開催致します。
 都合の良い道場生の皆さんは、ぜひご参加ください。
 3/26 ㈰…徳島県立中央武道館・剣道場にて 10 時~12 時 < 道着着用 >
 4/2 ㈰…鴨島東中学校にて 10 時 15 分~12 時 15 分 < 道着着用・先に案内している昇級審査会での支部内強化稽古を変更 >
 4/7 ㈮…徳島県立中央武道館・柔道場にて 18 時 45 分~20 時 45 分 < 道着着用 >

 3.17.2023 記