空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

身体への意識のススメ、平家物語の無常を感じる情緒

 先日の少年部クラスの稽古、その日のミット稽古は膝蹴りを練習しましたが、入会間もない小学校低学年の道場生が膝で蹴らずに太ももで蹴っていました。
 「膝を曲げて、膝のこの部分で蹴るんだよ。」と指導しましたが、私は稽古全般で初心者には自分で見本を見せるか、道場生に見本を示してもらいます。
 その道場生にも、事前に見本を見せましたが「詳しく説明しないと見本を見るだけでは、膝蹴りと言っても太ももで蹴ってしまうんだな」と感じました。

 膝の機能について調べてみると「私たちはひざのおかげで、立ったり、座ったり、歩いたり等、さまざまな姿勢や動作をすることができます。 また、ひざは私たちの体重を支え、日常の動作において地面から足への衝撃を吸収しています。」とあります。
 膝を蹴りとして使うことなど、上記のいゆわる〝日常動作〟にはないことで、膝蹴りは非日常的な膝の使い方と言えます。
 同様に突きは指を握り込んで握り拳で打つものですが、指の機能は本来は物を掴んだりなどするものであり、突きも非日常的な指、または指に付随して手、腕などの使い方となります。

 そうして考えると空手の身体の使い方は非日常的な身体の使い方が多く、その非日常的な使い方は空手を学ばなければ知り得ない、最近よく耳にするところの〝知見〟という言葉に相当するように思います。

 知見は物事をよく知ることであり、その知ることは可能性や希望になると思います。
 話は変わりますが、人間は文明が進むほどに身体への意識が薄くなると言います。
 文明が進むとその産物である色んな利器のお陰で、何事も脳で考え、感じようとするからとのことですが、人間が古くから受け継いできた文化には身体への意識が色濃く反映されているそうです。

 日本人の情緒が綴られた、古い文学の代表作の一つと言える〝平家物語〟。
 「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」

 上記は、その有名な冒頭の一節ですが、仏教の無常感が表されているそうです。
 無常感である〝盛者必衰の理〟は大概的な人の営みを示すことですが、生まれてから成長し、老い、やがて死を迎える、個人としての人の一生も反映していると本か何かで読んだことがあります。
 人は老いると若い頃の元気や力などの喪失を感じるものですが、盛者必衰の理はその喪失感としての無常も投影しているものに思います。
 人としての個人の無常ですが、それは若い時と老いた時の身体の違い、身体への意識があるから感じられるものと思います。
 最近は老人のような若者、子どもが多いと言われますが、若い時と老いた時の身体の違いを感じる身体への意識が薄ければ、平家物語に綴られたような無常を感じることが出来ないのではないかと個人的に思います。

 実は高校の古文の授業でしか知らない平家物語を賢しげに引用していますが、平家物語のクライマックスである今の年齢でわずか 6 歳の安徳天皇の入水のように、平家物語には多くの人の死が描かれています。
 平家物語は人の死を無常と表すことで、人の死生観を読む人に問いかけ、そして物語っているように思います。
 人の死の無常を知れば、いずれ迎える自分の死への向き合い方が色々と見え、そして今なすべきことも見えてくるように思います。
 しかし無常を知らなければ、いずれと今を何も感じずに、いずれ迎える死は、その間際に単なる恐怖としか感じないようになるのではないかと思います。
 無常、また無常のみに止まらず人の情緒を感じる必要な要素の一つに、私は身体への意識があると思います。
 身体への意識は、様々な人の情緒を呼び起こし、その情緒が人生を豊かにするものと思います。

 空手は身体の使い方への知見を通して、人の身体への意識を深めるものです。
 空手の身体への意識からなる知見は、空手の技となり今の可能性、そしていずれ ( 未来 ) への希望となると思います。

 自身の身体への意識を深め、その意識から知見を得て、知見を技として新極真会徳島西南支部の道場生に伝えて行きたいと思います。
 そしていつか平家物語をきちんと読み、薄い引用に終わらず、平家物語を読んで得た知見による深い考察をブログで書いてみたいと思います。
 古典文学はさっぱり頭に入りませんが…。

 < 追記 >
 土曜日 (1/28) は冷え込みましたが、夜、一番最後に道場を後にする私を気にかけ、車のワイパーが凍りつかないようにしてくれた方がいらっしゃいました。

 どなたか知れませんが、お気遣いありがとうございました。
 お陰様でスムーズに帰宅することが出来ました。
 1.30.2023 記

新極真会徳島西南支部は随時入会者を募集しています。
興味のある方はお近くの道場に、お気軽に見学・体験にお越しください。
お問い合わせはホームページより、「逢坂(おおさか)道場」でご検索ください。
<徳島市の道場>
徳島市加茂道場
稽古日…火曜日
稽古場所<加茂名コミュティセンター>
徳島市庄町5丁目48番地の5
少年部クラス…18時30分~19時30分
一般部クラス…19時45分~20時45分
稽古日…金曜日 
稽古場所<加茂コミュニティーセンター>
徳島市北田宮町4丁目6番60号
少年部クラス…18時30分~19時30分
一般部クラス…19時45分~21時15分
<吉野川市鴨島町の道場>
鴨島道場
徳島県吉野川市鴨島町鴨島234<常設道場>
稽古日…水曜日
少年部フィジカルクラス…18 時 20 分~18 時 50 分
少年部クラス 19 時~20 時
一般部クラス…20 時 15 分~21 時 30 分
稽古日…土曜日
少年部アドバンスクラス…15 時 45 分~17 時 15 分
選手クラス ( 小 5 以上 )…17 時 30 分~19 時
一般部クラス…19 時 15 分~20 時 45 分
<美馬市美馬町の道場>
★美馬道場
徳島県美馬市美馬町字大泉51-1
<常設道場・旧重清東小学校>
稽古日…木曜日
少年部クラス…19 時~20 時
一般部クラス…20 時 15 分~21 時 30 分
稽古日…土曜日
合同アドバンスクラス…10 時~11 時 15 分
<阿南市の道場>
★阿南道場
稽古日…月曜日
稽古場所 < 黒津地コニュニティーセンター >
阿南市黒津地町新弥開16-1
合同 1 部クラス…18 時~19 時 15 分
合同 2 部クラス…19 時 30 分~20 時 45 分
アドバンスクラス…21 時~21 時 30 分
稽古日…土曜日
稽古場所 < 阿南市武道館 >
徳島県阿南市大潟町210-56
合同クラス 1 部…18 時~19 時
合同クラス 2 部 ( 選手稽古 )…19 時 15 分~20 時
<三好郡東みよし町の道場>
三加茂道場
三好郡東みよし町加茂西庄  
<三加茂町農業者トレーニングセンター>
稽古日…水曜日・金曜日
合同クラス…19 時 30 分~20 時 30 分
<三好市池田町の道場>
★池田道場
三好市池田町三縄<三縄公民館>
土曜日
合同クラス…19 時 30~20 時 30 分
少年部クラスは小学生以下、一般部クラスは中学生以上、合同クラスは少年部、一般部が対象です。
希望者は小学生でも一般部クラスでの稽古は可能です。