空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

空手の価値へ目を凝らすことのススメ、〝ただの習い事の空手〟から目を凝らすと見えてくる〝タダではない空手の価値〟

 一昨日の日曜日 (4/21) は高知市にて、第 41 回全四国空手道選手権大会でした。

 大会を主催、運営された新極真会高知支部支部長・三好師範、三好道場スタッフの皆様、素晴らしい大会に道場生ともども参加させていただき、誠にありがとうございました。

 新極真会徳島西南支部からは 36 名がエントリー。

 組手錬成部門でイッサ君、ミオちゃん、コタロウ君が優勝、タケル君が 2 位。
 型個人でイッシン君、イロハちゃん、カイト君が優勝、リトちゃんが 2 位でした。
 出場した道場生の皆さん、お疲れ様でした。

 今週の稽古から、また頑張りましょう !!

 さて、道場生からは時折、手紙をもらうことがあります。
 どの手紙からも、空手に関して私に伝えたいことが読み取れますが、その伝えたいとことが「そんな風に思っていたんだ」と、ハッとすることが多く、またそのハッとすることが空手に関してポジティブなことばかりで、いつも私自身の指導の励みになっています。
 先日もある道場生から手紙をもらいましたが、今回もハッとする一文が書かれていました。
 その一文とは「空手を習い始めて最初は怖かったですが、稽古を重ねるうちに出来ることが増えて空手が楽しくなり、習い事程度で始めたつもりが試合に出たい、試合に勝ちたいと思うようになりました。」といったものでした。

 私は、道場生自身の空手に対するスタンスは空手は〝ただの習い事〟であるとの認識を、基本的に持つようにしています。
 道場生にとって空手は〝ただの習い事〟と認識することは、冷めた認識かもしれませんが、私なりに道場生のライフスタイルや価値観を尊重してのことです。
 その認識のうえで、道場生にとっての〝ただの習い事の空手〟が、稽古を重ねるうちに〝ただの習い事ではない空手〟になるように導くことを指導目標とし、それを指導の信念の一つともしています。
 また指導目標を掲げ、指導信念に専心することは、指導者としての私の本分になると思っています。

 しかし実際のところ、指導者としての本分を尽くすことは、なかなか困難です。

 道場生にとっての〝ただの習い事の空手〟を〝ただの習い事ではない空手〟に導くことが困難であっても、私に悲嘆などはありませんが、「どう指導すれば…」などと思う葛藤はつきまといます。
 今回、道場生からもらった手紙は「空手はただの習い事にならなかった」と読み取れる手紙です。
 こういった手紙をもらうと、これまでの道場生への指導に自信が持て、そして、これからの指導への大きな励みとなります。
 道場生にとっての空手が〝ただの習い事ではない〟となることは、私の大きな励みとなるものですが、道場生にとっても〝タダではない〟大きな価値をもたらすと思います。

 その価値は試合、審査または稽古などの様々なシーンで、道場生が空手に向き合う姿において表出するものですが、手紙をくれた道場生は〝タダではない〟大きな価値を、先日、多くの道場生、保護者の皆さん前で見せてくれました。
 先日、彼女が我々に見せた〝捨て身となり、自らを空手の試練に追い込む姿〟は、その場にいた全員に感動を与えたと思います。
 人に感動を与えることは、大きな価値であり、そして素敵な価値です。
 人に感動を与える価値は、人の心を高め、豊かにするような価値ですが、その価値は自分にも反映するものです。

 先日の感動から生まれた価値は、彼女の新たな魅力として彼女の人格に溶け込み、今後の彼女の〝生きる力〟として反映するものと思います。
 私は〝ただの習い事ではない空手〟から生まれる価値を、一人でも多くの道場生が享受できるように指導者としての本分を尽くしていきたいと思います。
 また、道場生においても空手が〝ただの習い事〟とならないように、空手に目を凝らして〝タダではない〟大きな空手の価値を見つけて欲しいと思います。
 空手の価値は目を凝らさないと見えてこなかったりしますが、先日の彼女の姿などは空手の価値に目を凝らしてくれるものだったと思います。

 空手の価値に目を凝らすことのできるシーンは、空手にまつわる色んなシーンに存在し多様ですが、彼女が手紙の中で書いていたように試合はそのシーンの一つです。

 一昨日の第 41 回全四国空手道選手権大会、出場した道場生のそれぞれの結果には一喜一憂がありました。
 勝っ人は嬉しく、負けた人は面白くないといった感情が生じたと思います。
 結果には過程があり、試合結果から生じる自分の感情によく目を凝らすと、過程における自分の試合への向き合い方が見えてきます。

 試合までの「努力が実った」「努力が足りなかった」などと見えてくる自分の試合への向き合い方は、試合に向けての自分自身の姿ですが、その自分の姿を自分自身で素直に受け止めることから「次の試合に向けても努力しよう」「次の試合はもっと努力しよう」などの、自分を成長させる空手の〝タダではない〟価値の一つが生まれてきます。

 一昨日の試合に出場した道場生の皆んな、試合結果に一喜一憂はあったと思いますが、皆んな、よく頑張りました !!
 勝って奢らず、負けて腐らず、勝った人も、負けた人も、試合で感じた気持ちを素直に自分に照らし、その気持ちから感じる試合での自分に目を凝らして欲しいと思います。

 そして、目を凝らして見えてくる自分自身から、空手の〝タダではない〟価値を感じて欲しいと思います。
 そしてまた、試合に向けて頑張りましょう !!
 また、付き添いの保護者の皆様もお疲れ様でした。
 保護者の皆様におかれましても、今後ともお子さんの〝タダではない空手の価値〟の発見にサポートをよろしくお願いいたします。

 4.23.2024 記