空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

「ネガデイブに感じる稽古をネガディブに稽古しない」心がけのススメ、慣れてくると〝つまらない〟〝退屈〟〝飽きる〟と感じる空手の稽古

 先週の金曜日 (4/7) は、新極真会徳島北東あわじ支部さんとの徳島合同稽古でした。
 参加された皆さん、また付添いの保護者の皆様、お疲れさまでした。

 徳島合同稽古の稽古前には、徳島市議会議員の森本さと子さんがお越しになられ、ご挨拶をいただきました。
 森本さと子さんは新極真会代表、緑健児師範と同郷の奄美大島出身で緑代表ともご縁のある方です。
 ご自身、現役子育て世代であられますが、子育てしやすい市政にご尽力されています。

 4 月 23 日には徳島市議会選挙 ( 告示 4/16) が行われますが、新極真会徳島北東あわし支部、西南支部では、二期目を目指して出馬予定の森本さと子さんを応援しております。
 新極真会関係者の皆様、森本さと子さんの応援をよろしくお願いいたします。
 森本さと子さん、頑張ってください !!

 さて、空手の稽古は習い始めて最初の頃は、指導される稽古内容が真新しく、稽古にも集中できるものと思います。
 しかし稽古に慣れてくると〝つまらない〟〝退屈〟〝飽きる〟と感じることも多いように思います。

 かくいう私も昔はそうであり、私が思っていた上記のようにネガティブに思っていた稽古を正直に列記すると。
 1. 基本稽古
 2. 移動稽古
 3. 型稽古
 4. 約束組手
 ついでに嫌いに思っていた稽古を書くと、フィジカルトレーニングが加わります。

 現在、空手の指導者でありながら「ほぼ全ての稽古をネガティブに思っていたんじゃないか」と呆れられそうですが、一時期は「稽古はミットとスパーリングだけで、いいんじゃないか ?」と思っていたりしました。
 私が大学生になって他県で空手を本格的に習い始めた支部は、上記の 4 つの稽古が長く、2 時間の稽古うち、1 時間 30 分くらいは費やしていました。
 当時、在籍していた支部では〝帯研〟という毎週行われる特別稽古がありましたが、参加資格が黒帯、茶帯に限定された稽古でした。
 帯研に県内の各道場から集まる先輩の中には世界大会に出場したり、全日本ウエイト制大会で入賞したりする先輩もおられましたが、2 時間の稽古の内容のほとんどは約束組手や移動稽古で、スパーリングはめったに行いませんでした。

 私は緑帯から特別に参加させていただきましたが、帯研に慣れてくると生意気にも「約束組手も良いけど、せっかく強い先輩達がいるのだからスパーリングもしたい」と思ったりしました。
 しかし今となってみれば、みっちりと帯研で約束組手を行ったお陰で、今の自分があるように思います。
 当時、ご指導いただいた師範には、今でも感謝に絶えませんが、しかし当時、帯研の稽古を時折、冒頭のようにネガティブに思っていたのは正直なところです。
 時折、ネガティブには思っていた帯研の稽古内容ですが、しかしネガティブには取り組みませんでした。
 「ネガティブに感じるからこそ、集中力を高めてネガティブに取り組まないようにしなければ、稽古が無駄になる」と思い、稽古に全力を尽くし、稽古の意味も自分なりに考えて「ネガデイブに感じる稽古をネガディブに稽古しない」と心がけて稽古していました。

 約束組手とは、例えば相手が突いてくる突きを受けて自分の突きを返す、といった攻防が決められた形式組手ですが、約束組手がほとんどだった帯研での「ネガデイブに感じる稽古をネガディブに稽古しない」との、私の具体的な心がけとは、相手の突きを実践的なタイミングで受け、自分の技も実践的なタイミングで返すといったことでした。

 約束組手でも行う人の技量によっては実践的に見えたり、そうでなかったりします。
 私の約束組手でのネガティブにならないための心がけとは、相手の技を受けるタイミング、自分の攻撃を返すタイミングが実践的であるように心がけることですが、約束組手が実践的に見えるかどうかは、攻防における彼我とのタイミングにあります。
 約束組手は実践的に見えるように行えてこそ、試合のような自由攻防の組手において、約束組手で身につけた技が実践できるものです。

 私の約束組手へのネガティブに取り組まない心がけは、約束組手の稽古としての効果を最大限に高めるものでしたが、空手の稽古は、基本稽古、移動稽古、型稽古、全てにおいてネガティブに感じてもネガティブに取り組まない心がけから、稽古の効果が最大限に得られるものと思います。

 近年の私は基本、移動、型稽古においてもネガティブに取り組まない心がけから、それぞれの稽古の最大限の効果を理解できるようになりました。
 例えば、基本稽古においては蹴り技の引き足を音をさせないように接地させることが、蹴り技のみならず組手における身のこなしの全てを軽快にする作用があるといったことですが、それらの心がけにおける具体的な注意点は、直接に教わったこと、または指導を受けた師範や先輩の稽古動作から見取ったものです。
 空手におけるそれぞれの稽古の効果を最大限に高めるための理解は近年に得たものもありますが、そのために何に注意すべきかの心がけは、空手を本格的に始めたころから、注意すべきことの効果が分からなくても持っていたものであり、今でもずっと持ち続けています。

 道場生にも、稽古に慣れてネガティブに感じるようになった稽古でも、ネガティブに取り組まない心がけを持って欲しいと思いますが、私が空手を本格的に始めたのは 19歳からです。
 今、私が指導している道場生で、私が本格的に空手を始めた 19 歳以下の年齢の道場生が、そういった心がけを持つのは年齢的にも難しいかと思ったりします。
 私は基本、移動、型稽古、約束組手に惰性が見られる道場生にある程度寛容ですが、その理由は自分が 19 歳で持った〝ネガデイブな稽古をネガディブに稽古しない〟との心がけを 19 歳の自分より若い道場生に強いるのは理不尽に思うからです。

 しかし道場生の中には 19 歳の私より素直で、優秀な 19 歳以下の道場生はいるもので、私が 19 歳の時に内心ネガディブに思っていた稽古もポジティブに取り組んでいる道場生もいます。

 彼らの型稽古における型の演武などは、私など比べ物にならないほど上手です。
 彼らが型の動きを組手に転化できた時、私以上に組手が達者になるのではないかと思ったりします。
 空手の稽古は、先ほど以来書いているように「ネガデイブに感じる稽古をネガディブに稽古しない」心がけから稽古の最大の効果を得られるものです。
 その心がけを拙速的に強いずに、時間をかけて全ての道場生に働きかけていきたいと思います。

 空手の稽古における「ネガデイブに感じる稽古をネガディブに稽古しない」心がけは、何事においても自分の人生を良い方向へ導く〝ポジティブな心〟へとなっていくように思います。
 人にとって、もっとも大切なことの一つである〝ポジティブな心〟は、ネガティブなことに向き合うことからも派生するように思います。
 4.11.2023 記