空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

折り目のススメ、空手の稽古の随所でしつけられる人としての〝折り目の正しさ〟

 先週の鴨島道場の稽古には、元道場生のユカちゃんが道場生のお父さんとともに挨拶に来てくれました。
 現在、県外の大学に通う 3 年生のユカちゃんですが、最近はスタートした就職活動を頑張っているそうです。
 小学校低学年から空手を始めた彼女ですが、小さい頃は少し恥ずかしがり屋さんで、時折声をかけると、はにかみながら笑顔で答えてくれるのが印象的でした。

 進路希望について聞くと、明確な目標を持ち、しっかりとしたビジョンを話してくれましたが、昔からの笑顔は変わらずも、その口調からは昔のはにかみは消え、凜とし た彼女の芯の強さが感じられました。
 口調を含めた所作全般のユカちゃんの屈託のない雰囲気には、彼女の成長を感じましたが、それは同時に、これから社会に出て行く若者としての頼もしさと可能性も感じ させるものでした。
 世間的に最近の若者には、頼もしさと可能性を感じることが少ないと思いますが、ユカちゃんの感じさせる頼もしさと可能性は、礼儀がしっかりしている彼女の人として の〝折り目の正しさ〟からにじみ出ているように思いました。
 彼女の凛とした〝折り目の正しさ〟には、ご両親の教育とともに空手を学んだことも関与しているように思います。
 彼女の〝折り目の正しさ〟はどの世界でも通用すると思いますが、ユカちゃん、自分の未来に向かって就職活動、頑張ってください。

 挨拶に来てくれてありがとう。
 とても嬉しかったです。

 さて〝折り目の正しさ〟という言葉、改めてインターネットで調べると、「礼儀正しく、きちんとしている。〝折り目〟は、礼儀作法。」とあります。
 また〝折り目〟自体には、他にも「① 物を折りたたんださかいめ。 折りたたんださかいの線。 ② 物事の時間的な区切り。 ③ 物事のきまりやけじめ。」といった意味があり ます。

 これらの意味を改めて見てみると〝折り目〟は、全ての意味で空手において、空手の稽古の随所でしつけられるものに思います。
 礼儀作法としての〝折り目〟が空手でしつけられるのは言うまでもありませんが、他の〝折り目〟においても下記のように空手でしつけられるように個人的に思います。

 ①の「 物を折りたたんださかいめ。折りたたんださかいの線。」としての〝折り目〟について。
 空手は道着を着て稽古するものですが、道着は一種の和服です。
 和服を美しく着るには、きれいな折り目があることが大切であるそうです。
 空手の道着も着こなし方が大切であり、道着の着こなし方は、その人の技量、人格が表れると言われています。
 道着の折り目の整った、きれいな道着の着こなし方が空手では望まれますが、折り目をきれいに道着を着るには、道着にアイロンをかけることもそうですが、道着をきれ いにたたむことが、まずは大切になります。

 一般的に空手を稽古する人の中には、道着のたたみ方が雑な人がいますが、道着をきれいにたたもうとする心は道着を整えるだけでなく、自分の心も整えるものです。
 そしてその心は、その人の技量、人格に反映するものです。
 空手では道着をきれいにたたむこと、きれいに着ることで、人となりとしての折り目がしつけられます。

 ②の「物事の時間的な区切り」としての〝折り目〟について。
 稽古において、諸事の準備の遅い人がいます。
 例えばスパーリングの前にサポーターをつけるのが遅かったりする人がいますが、幼くて年齢的に無理のない人もいますが、おしゃべりなどをしてサポーターをつけるの が遅れる人もいます。
 サポーターをつけるのが遅れれば、先に準備ができている人を待たせてしまいます。  人を待たせることは単にエチケットに反することでなく、待たせている人の稽古時間を奪う迷惑となります。

 人の迷惑にならないように、常に注意を払うのは礼儀の根本的な心がけです。
 空手では、人を待たせないなどの時間への注意で、礼儀の根本となる、他人への配慮としての折り目がしつけられます。

  ③の「物事のきまりやけじめ」としての〝折り目〟について。
 空手にはいろんな〝きまり〟があります。
 代表的な〝きまり〟としては、例えば我々の空手であれば基本稽古において、正拳中段突きはみぞおちの位置を突くといった、稽古動作における総じてを意味する〝型〟 です。

 空手は型で、空手の技を練り上げます。
 空手の稽古における〝きまり〟としての〝型〟は、例えば身体を 90 度転身させるような具体的な動作の折り目ともなるもので、その折り目は合理的な身体操作としての折 り目にしつけられます。

 〝けじめ〟とは、道徳や規範によって行動・態度に示す区別ですが、空手の稽古では、指導されたことを〝素直〟に行うことが〝けじめ〟となります。
 〝けじめ〟は〝素直さ〟であり、けじめは素直さを介在とした指導するものと、指導されるものの人間関係の折り目でもあると思います。
 空手の稽古においては、人間関係である〝けじめ〟としての折り目がしつけられます。

 思いつくままに、ざっと空手における〝折り目〟について書いてみましたが、〝折り目〟は空手の稽古の随所からしつけられるものです。
 〝折り目〟は最終的に人の品格となるものに思いますが、道場生の〝折り目〟を稽古の至るところで正して行きたいと思います。

 < ご案内・道場生対象 >
 本日 (4/7) 下記の通り、新極真会徳島北東あわじ支部さんとの徳島合同稽古を行います。
 4/7 ㈮…徳島県立中央武道館・柔道場にて <18 時 45 分~20 時 45 分・道着着用 >
 同日の徳島市加茂道場は、徳島合同稽古に代替えします。
 代替え稽古のため、初心者にも出来るミット稽古も行います。
 都合の良い道場生は、頑張りましょう !!

   また 6/11 ㈰に高松市錬成大会が開催されます。
 運動会のような大会がコンセプトの参加しやすい大会で開催されるようです。
 申込書が準備できていますので、出場希望の道場生は指導員まで申し出てください ( 支部内締切…5/10 ㈬ )
 なお同大会は、東京都大会と重なっており逢坂は東京都大会に出席します。
 高松錬成大会には出席出来ませんので、ご了承ください。

 4.7.2023 記