空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

 武道とスポーツのクロストレーニングのススメ、< 武道の国 > 日本のオリジナリティーのある社会体育

 曲がりなりにも空手の指導者をさせていただいている身として、空手の普及に努める責務が私にはあるかと思います。
 空手も社会の様相に伴い多様化している現代において、空手の普及の方法も様々な手段があると思います。
 自分の指導する空手の色合いを鮮明に打ち出し、その色合いに理解を得た空手を学びたいと思う人に、自分の指導する空手を選んでもらうという方法も普及の手段かと思います。

 私の指導する空手の色合いとしては、武道色が鮮明であることを旗幟 ( きし ) としていきたいと常々に思うところです。

 武道とは、スポーツと混同されているが故に、世間的には曖昧な部分があると思います。
 武道色を旗幟鮮明にするには、混同されている武道とスポーツの違いを打ち出し、それを発信することも手段の一つであるかと思います。

 世間には、武道とスポーツは同じとする主張もあるかと思います。
 私はそういった主張を自分の主張と違うからといって、否定すべきではないと思っています。
 武道とスポーツが混同することは、時代の流れあり、混同することが武道、スポーツ両者に有益であり、混同すべき一面もあると思います。

 しかし以前のブログでも書いたように、武道とスポーツは戦前、戦中においては別物と認識されていた歴史的史実がありました。
 また混同されるようになったのは戦後であり、混同にされることによって有益な面も生じましたが、混同によって武道、スポーツ両者にとって有害な面も併せ持つようになったと個人的には思います。

 混同されることによって武道、スポーツ両者に有害になったこと、それも以前のブログで書きましたが個人的に思うのは以下の 2 点です。
 ・スポーツにおいては指導者が間違った武道的な縦の人間関係を用いることで生じる、スポーツ界において絶える事のない問題になっている指導者の暴力。

 ・武道においては、我々と違う空手の有力選手が「空手の蹴りは当てるものではない」などと発信する、武道の心・技・体の本質の忘失。

 武道、スポーツにおける混同によって生じる有害の発生原因は、これも以前のブログで書きましたが、武道、スポーツの精神的な本質の違いへの認識不足に思います。
 スポーツの精神的な本質が〝楽しむこと〟であるのに対し、武道の精神的な本質は私は〝すべきこと〟にあると思います。
 スポーツの精神的な本質が〝楽しむこと〟であることは、以前のブログで書いたようにスポーツの語源が「(仕事や義務でない)気晴らしをする」ことにあり、識者においては常識とされています。
 武道の精神的な本質が〝すべきこと〟にあると思う事は、私の私見ですが、ブログでよく書くように私は武道は武士道と思っており、武士は昔の人の職業であったことから武道の精神的な本質が仕事、義務的な〝すべきこと〟と解釈しています。

 〝すべきこと〟とする武道の精神的な本質は、未熟な私の私的解釈であるために心もとないものですが、先般、我々の空手の創始者がスポーツと空手について語っていた内容を偶然知りました。
 我々の空手の創始者も「空手は武道としてスポーツとは違うもの」と語られていたそうですが、創始者は「スポーツは楽しむもの、空手は自分を律するもの」と語られていたそうです。

 我々の空手の創始者は大正時代に生を受け、戦前、戦中、戦後に波瀾万丈の人生を送られました。
 冒頭に武道とスポーツは戦前、戦中は別物とされており、戦後に混同されるようになったと書きましたが、まさにその時代の流れを知っている方です。
 創始者が語られるスポーツの精神的な本質が〝楽しむもの〟であることは常識ですが、世間的に曖昧である武道の精神的な本質を〝自分を律するもの〟とされていることは、私の私的解釈である〝すべきこと〟と同質に思います。

 武道の精神的な本質を〝自分を律するもの〟と〝すべきこと〟とすること、その同質性は両者が精神を修養することにおいて共通することです。

 創始者の空手とスポーツの違いを知って、自分の私的な武道の精神的本質の解釈に自信を持ちましたが、詰まるところ武道の精神的な本質は〝精神養〟にある思います。
 それに対し〝楽しむこと〟であるスポーツの精神的な本質は〝精神養〟であると思います。
 〝精神養〟と〝精神養〟は根本的、そして決定的な違いに思います。

 クロストレーニングという言葉があります。
 簡単な意味は「日々の練習に専門競技以外の競技を取り入れるトレーニング方法」ですが、スポーツ間の異種競技において、クロストレーニングは有効なトレーニングとされています。

 武道とスポーツは精神性が違うものですが、両者とも競技を行うものであり、肉体を鍛錬するものであることから、武道とスポーツにおいてもクロストレーニングは成り立つものであり、有益であると思います。
 ただし、武道のスポーツの精神性を理解せねば、武道とスポーツのクロストレーニングは不毛に終わると思います。

 新極真会徳島西南支部では、スポーツとは違う武道の精神的な本質、〝精神養〟を空手普及のため、空手を学びたい人への PR としたいとおもいます。
 主には当支部を空手を武道として学びたい方への門戸としたいと思いますが、精神的な本質が違うスポーツを愛好する人にもクロストレーニングとして武道精神、そして空手独自のスポーツとは違う身体操作を学ぶ機会として門戸を広げたいと思います。

 スポーツ志向の方にも新極真会徳島西南支部で武道精神に触れ、そして空手を学んでいただきたいと思いますが、武道とスポーツ、その精神性の本質の違いを認識し、両者を並立させクロストレーニングすることは、< 武道の国 > 日本のオリジナリティーのある社会体育になるかと思います。

 < ご案内・道場生対象 >
 明後日の日曜日 (4/16) は、高知市にて第 40 回全四国空手道選手権大会です。
 大まかなスケジュールは以下のとおりです。
 受付…8 時~8 時 30 分
 試合開始…9 時
 徳島西南支部では 8 時 10 分から 8 時 40 分の間に支部全体アップをしたいと思います。
 受付が終了しだい、出場する道場生はアップに参加してください。
 出場する道場生の皆さんは、当日の忘れ物のないように試合の準備を行い、試合ではベストを尽くしましょう。
 皆さんの健闘を祈ります !!

 なお明後日の四国大会のため、明日の土曜日 (4/15) の美馬道場、鴨島道場、明々後日の月曜日 (4/17) の阿南道場はお休みとさせていただきます。

 また本日の金曜日 (4/14) からドリームフェスティバル 2023 全国大会の募集要項が、新極真会公式サイトで公開されます。
 申込みはオンラインで期間は 5/8 ㈮~5/17 ㈬です。
 出場希望の道場生は、指導員までご一報ください。
 4.14.2023 記