空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

 空手の学ぶもののアイデンティティのススメ、アイデンティティとモチベーションを混同しない

 思わぬ大病から約2ヶ月の入院生活を経て指導復帰した先週、たくさんの道場生、保護者の皆様から指導復帰を祝福していただきました。
 道場生、保護者の皆様の祝福のお気持ちからは、道場が自分の居場所であり、若輩ながら自分が空手の指導者、師範であることを改めてヒシヒシと感じさせていただきました。

 自分の居場所を感じること、自分の立場を感じることは〝アイデンティティ〟の認識となるものです。

 アイデンティティとは、調べると「自分が自分であること、さらにはそうした自分が、他者や社会から認められているという感覚のこと。 自己同一性。存在証明。」とあります。
 近年、アイデンティティの薄弱さを感じさせる出来事、事件などが多発しているように思います。

 法を正すべき立場である弁護士が、法を犯し犯罪に手に染める事件が最近報道されていましたが、その事件からは個人的に弁護士としてのアイデンティティの薄弱さ、または喪失を感じます。

 誰しもにおいて自己のアイデンティティの認識、確立は、まっとうで良き人生を送るのに大切なこととされてます。

 先のブログで書きましたが、入院中は私の不在中の道場生たちの稽古姿勢から〝空手を学ぶものの本分を尽くす姿勢〟を感じました。
 そして指導復帰においては、私の入院前と変わらぬ、もしくはそれ以上に真摯に稽古する道場生の稽古姿勢から〝空手を学ぶものの本分〟を直に強く感じました。

 空手に限らず何事においても〝本分を尽くすこと〟は、アイデンティティの確立となるものです。

 私の入院中、各道場の黒帯・指導員は、私の不在中の新極真会徳島西南支部、自体を守ってくれました。
 その使命感などは、黒帯・指導員たちの空手の学ぶもののアイデンティティと言えます。
 そして、黒帯・指導員たちのアイデンティティを受け、道場生たちは空手を学ぶものの本分を尽くしました。
 これらの事柄から手前味噌ながら新極真会徳島西南支部には、法人的な空手道場としてのアイデンティティがあると師範として自負します。

 空手道場としてのアイデンティティは、そこに集う各個人の個々のアイデンティティから確立します。

 指導復帰で改めて感じた空手指導者、師範としての私自身のアイデンティティ、自身のアイデンティティを一層高め、復帰後の指導に邁進していきたいと思います。

 さて、空手を続けていくうちには、様々なモチベーションが生じます。
 代表的なモチベーションとしては試合、昇級、昇段などあります。
 モチベーションは稽古への姿勢を高める大きな発奮材料となりますが、モチベーションは時にアイデンティティと混同します。

 試合に向けて選手として頑張る人は、試合で勝つことを唯一のモチベーション、そして自分のアイデンティティと認識しまいがちになります。
 そのため選手を引退するとモチベーションが失せ、アイデンティティすらも見失います。
 武道として空手を学ぶ選手は、高潔な武道精神を試合経験で高め、それを保ち続けねばなりません。
 武道に限らずスポーツ選手も、高潔なスポーツマンシップを身につけ、保たねばなりません。

 武道、スポーツを問わずにモチベーションとアイデンティティを混同する選手は、引退後に武道精神、スポーツマンシップにもとる言動を起こすことがあります。

 モチベーションとアイデンティティとは違います。
 その違いの一つは〝モチベーションは人生の一端〟であり〝アイデンティティは人生そのもの〟であることです。
 武道、スポーツで生じた〝武道を学ぶものとしてアイデンティティ〟〝スポーツマンとしてのアイデンティティ〟は、生涯の人生において反映させねばならず、そうすることにおいて武道を学ぶ、スポーツに取組む、一番大きな意義は達成されます。

 武道精神、スポーツマンシップは、アイデンティティとなるものですが、先に書いたようにモチベーションとアイデンティティは混同しやすく、その混同は武道を学ぶ、スポーツに取組む意義を失わせます。

 モチベーションとアイデンティティは混同してはならないものです。
 それには当人の自覚も大切ですが、武道を学ぶ、スポーツに取組む子供たちにおいては指導者、保護者などの周囲の責任も大きいものです。

 空手においてはモチベーションがアイデンティティとならないために、試合などを空手の全てとしないことを当人および、周囲が認識することが大切です。
 そのためには〝稽古をすることが空手を学ぶものの本分〟と定めることが、1つの基軸になると私は思います。

 再び手前味噌ながら新極真会徳島西南支部には、空手道場としての〝空手を学ぶものの本分から生じるアイデンティティ〟があります。
 この空手道場としてのアイデンティティを空手の指導者、師範として矜持に思い、大切に保ち続けたいと思います。

 4.15.2025 記

 < ご案内>【新極真会徳島西南支部、道場生・保護者様対象】
 4/20 ㈰に行われる四国大会のために、以下の稽古はお休みとになります。
 4/19 ㈯…鴨島道場<同日午前の美馬道場は稽古を行います>
 4/21 ㈰…阿南道場

 4/16 ㈬以降の鴨島道場は以下のとおりクラス休止、時間変更致します。
 水曜日…少年部クラス…19時~20時 一般部クラス…20時15分~21時30分<フィジカルクラスは休止>
 土曜日…少年部クラス…16時~17時 選手クラス…17時15分~19時15分 一般部クラス…19時30分~20時30分 アドバンスクラス(居残り稽古)…20時40分~21時40

 ※先日のブログで4/13㈰の支部内強化稽古を<鴨島道場・19時から20時30分>と表記してしまいました。正しくは<鴨島道場・9時から11時>でした。ご迷惑をおかけ
した皆様、申し訳ありませんでした。