空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

空手の組手におけるディフェンス技術のススメ、〝何が危険であるかを考え〟の〝自分の身を自分で守る〟といった意識の高揚

 一昨日の日曜日 (5/14) は三好市にて、聖空会山本道場さんが主催された、第 5 回徳島県フルコンタクト空手道選手権大会・オアシス杯でした。

 大会を主催された山本師範、聖空会山本道場のスタッフの皆様、素晴らしい大会に出場させていただきありがとうございました。

 新極真徳島西南支部からは 28 名がエントリー。
 うち、アネネちゃん、ユアちゃん、ヒナタ君、カジモトさんが準優秀、イッシン君、キイト君、コウダイ君、ウタ君が 3 位でした。

 出場した皆んな、勝った人も、負けた人も、皆んなよく頑張りました。
 大会は、まだまだ続きます。

 積極的に参加し、頑張っていきましょう。
 保護者の皆様もお疲れ様でした。

 さて先日、「いのちを守る学校に 調査報告〝学校事故〟」というタイトルの番組を見ました。
 学校事故は時折、報道で見聞きしますが、番組では報道では伝わらない学校事故の深刻さが語られていました。
 番組は、実際に起こった様々な学校事故を検証し、検証から子ども達を学校事故から守るめたの方策を模索する形式で展開されていました。

 転落を防ぐために窓に手すりを設けるなどの具代的な方策が語られていましたが、その根幹的方針としては〝子どもが「危ない」と思う基準と、大人が「危ない」と思う基準は違うものであり、その違いへの認識を忘れてはならない〟といったことを打ち出していました。

 事故の一例として、ある中学生児童が 3 階校舎の窓に腰掛けて友だちとの談笑中に何かの拍子にバランスを崩し、そのまま転落し死亡したケースが番組では紹介されていました。

 子どもは上記のケースのように、大人なら「危ない」と思ってしないことでも平気でするものです。
 子どもの目線で学校内を見渡し、子どもの基準で学校内に潜む、子どもにとっての危険な場所に対策を施すのことが大切であることを番組では説いていましたが、道場でお子さんを預かる空手指導者の立場として非常に参考になりました。
 道場でも子ども基準で危険な場所を見渡し、子ども基準で安全対策を施していきたいと思います。
 学校事故のような事故は空手道場でも起こりうるもので、その点は子ども基準の安全対策は必要であると思います。
 しかし空手道場においての安全基準を、全て子どもに定めるのは空手道場の本分を違えるものであると私は思います。

 全ての安全基準を子ども目線にするならば、空手の組手、特に実際に技を当てる我々の空手の組手などは危険なもので、極端な言い方をすれば、しない方が良いといった論法も成り立つように思います。
 しかし空手の組手の本質から、危険は拭い去れません。
 逆に、拭い去れない空手の組手の危険性、その本質に向き合うことで、空手を学ぶものは自身の心・技・体を高めることができます。
 子どもであっても、真っ当な空手を学ぼうと思うならば、空手の本質に沿った稽古を行うべきに私は思います。
 また、子どもは、いつまでも子どもでいるものではありません。
 当然、子どもは大人になりますが、子ども基準で守られたまま、いわゆる温室育ちで大人になってしまえば、守られることを当たり前とする未成熟な大人になりかねません。

 成熟した大人へと子どもを成長させるには、今回のブログの内容に沿うと、大人目線の安全基準というよりは〝一般社会的な安全基準〟に適応できるように子どもの成長を導くことが必要なことの一つに思います。
 そのためには学校のような多数の子どもが集まり、目がなかなか行き届かない場所では子ども目線の安全基準で子どもを守り、一方、子どもへの目の行き届く場所では、一般社会的な安全基準に適応させることが必要かと思います。
 空手道場は、子どもの一般社会的な安全基準への適応を担うことできる、最適な場所であるように思います。

 組手の危険は、相手の技を被弾することで生じます。
 この事実に子ども、大人の違いはなく、一般的な事実であると言えます。
 相手の技には防御という対策が講じられるもので、防御ができれば相手の技の被弾による危険は回避できるものです。
 子どもにとって空手の組手で防御を身につけるということは、〝何が危険であるかを考え〟そして〝自分の身を自分で守る〟といった意識となるものに思います。
 そして、その意識は一般社会的な安全基準への適応に繋がるものと思います。
 また、子どもにおいて〝自分の身を自分で守る〟といった意識は、〝自己責任〟といった意識の芽生えにもなるようにも思います。
 〝自己責任〟といった意識の芽生えおいては、一般社会的な安全基準への適応のみならず、子どもの大人への成長となる、社会性そのものを育むと思います。

 私が指導する組手は、ディフェンス重視の組手です。
 新極真会徳島西南支部では、子ども達、少年部道場生においてもディフェンス重視の組手を指導し、〝自分の身を自分で守る〟意識から、子ども達を〝自己責任〟の持てる成熟した大人へと導きたいと思います。
5.16.2023 記