空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

教育の根幹を知ることのススメ、教育を担える空手道場を目指して

 最近、下の添付画像の本を読んでいます。

 少年非行について取り扱った本ですが、同書にある「少年非行を生み出すことは、教育の敗北である。」といった内容の一節に興味を覚え、スローペースではありますが読 みすすめています。
 同書は少年非行は教育で防止できるものであり、それが出来ずに少年非行が発生してしまうことを〝教育の敗北〟としています。
 少年非行の発生が教育の敗北であるのならば、少年非行を発生させないための教育は、あらゆる教育の根幹であるように個人的に思います。

 私は空手道場の指導者です。
 私が指導する新極真会徳島西南支部には、たくさんの少年部道場生・子ども達が稽古しています。

 私が空手を本格的に始めた約 30 年前は青年道場生が大半であり、少年部道場生などは少なかったものですが、逆転現象が起こり今は昔と違い、ほとんどの空手道場が子ど も達が道場の主体となっています。
 昔の空手道場、特に我々の空手では、強さを求めることへの一点張りが道場の趣旨であり、それが多くの血気盛んな若者に受け入られていました。
 現在は、道場の主体が子ども達であることから、昔の強さ一点張りの空手道場の趣旨を改める必要があるように個人的に思います。
 我々の空手の趣旨にも、強さを求めることを除外せずとも、道場の趣旨に新たな価値観を加え、趣旨の幅広さを加える必要があるように思います。
 私はその幅広さを、子ども達への教育でもって担いたいと思います。

 昔は、近隣のおじさんが悪さをしている子どもを見かけると注意していたように、社会全体で子ども達の教育に携わる意識があったように思います。
 幕末から明治にかけての長岡藩に伝わる「米 100 俵の精神」ように、江戸期以降、日本では社会全体で子ども達への教育に携わる意識がありました。

 日本の識字率は昔から高かった、と言われていますが、日本の識字率の高さは、日本社会の子ども達への教育意識の成果のように思います。
 しかし社会構造的な人間関係の変化から、他人との関わり方が昔とは変化しつつある現代においては、子ども達への教育は第一に家庭、第二に学校が主体とならざるを得 ないようになっていると思います。
 それに伴い、昔からの社会全体で子ども達を育む意識は、薄れているように思います。
 教育は幅広く行われてこそ、教育の豊かさとなるものに思います。
 昔のように社会全体で子ども達への教育に携わる幅広さが失われつつある現在、私は空手道場に、家庭や学校における教育のサポートや補完を担える可能性があるように思います。

 そのためには教育の根幹を知らなければない、と思いますが、教育の敗北である少年非行をよく知ることで、教育の根幹は見えてくるように思います。

 同書から伺うに、教育の具代的な根幹は〝認知能力を高めること〟にあると思います。
 認知能力とは、簡単に言えば「見たり、聞いたりすることを正確に理解する力」または「見たり、聞いたりすることで想像する力」であり、学力の根幹ともなるものです。
 同書によれば少年非行、特に凶悪とされる少年非行を犯す子どものほとんどは、認知能力が低いそうです。
 非行少年は認知能力が低く、ひいては学力も乏しいそうですが、非行少年のほとんどは、だいたい小学 2・3 年生くらいから学校の勉強についていけなくなる経験があるそ うです。
 学校の勉強からの脱落が、非行への発端へと繋がっていくそうですが、子どもたちの勉強からの脱落には、その原因となる認知能力の低さが見過ごされているケースが多 く見られるそうです。
 少年非行の防止には、子ども達の認知能力を見極め、子ども達の個々の認知能力に適切に対処することが必要であり、それが教育であることが同書からは伺えます。

 認知能力はトレーニングで向上を計ることができるものであり、そのトレーニング方法も色々と存在するようです。
 私は少年部クラスでの指導において「右手はどっち ?」と問いかけ、間違えればどっちの手が右手であることかを教え、右手を本人に確認させたから「右手で突く」といっ たように指導を行います。

 幼稚園くらいの道場生などは、右・左があやふやでよく間違えますが、繰り返すうちに右・左を覚えていきます。
 また右手が分かっていても、左手で突いたりする子もいますが、その場合も繰り返して注意していくうちに間違えなくなります。
 このような右・左の確認による指導は、私は認知能力を高めるトレーニングになると思っています。

 通常、認知能力トレーニングは座ったままで、脳を働かせることを主体に行うものですが、空手による認知能力トレーニングは立って身体をたくさん使い、なおかつ脳を働かせて行います。
 身体を使うため、通常の認知能力トレーニングとは違った効果が、得られる可能性があるように思います。

 身体を使った認知能力トレーニング、特に空手を媒体するそのトレーニングは、空手の運動としての特異性から大きな可能性があるように思います。
 認知能力トレーニングとして、空手の特異性からなる可能性は、またブログで機会を改めて書いてみたいと思いますが、新極真会徳島西南支部では子ども達への教育を担 いうる空手道場を標榜したいと思います。

 < ご案内 >
 本日の金曜日 (5/26) の徳島市加茂道場の稽古は、稽古場所の施設が使用不可のためお休みです。
 休みが続き、道場生の皆さんには申し訳ありませんが、ご了承ください。

 明日の土曜日 (5/27) の鴨島道場の稽古は、私の所用のため以下のとおりクラス・時間変更で行います。
 少年部・一般部合同クラス <15 時 30 分~17 時 30 分 >
 道場生、保護者の皆様、よろしくお願い致します。

 明後日の日曜日 (5/28) は、ダイハツ小松島店さんのイベントで演武会を行います。
 時間等は以下のとおりです。
 時間…11 時 30 分~( 約 10 分 )
 場所…ダイハツ小松島店さん (〒773-0022 徳島県小松島市大林町北浦 1-1)
 今回の演武は新極真会徳島西南支部では初となる、トランペットの生演奏をバックミュージックに行います。  
  ご都合の良い方は、ぜひ、ご覧にお越しください。
 演武会に参加の道場生の皆んな、頑張ろう !!  

5.26.2023 記