空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

武道精神にのとって試合に挑むことのススメ、虚偽の反則アピールをしない武道精神

一昨日の日曜日 (11/19) は、徳島県吉野川市で第 17 回全四国格闘技空手拳法選手権大会でした。

 大会を主催された総円心館・森館長、総円心館スタッフの皆様、参加させていただきありがとうございました。
 新極真会徳島西南支部からは 27 名がエントリー。

 イロハちゃん、タイト君が優勝、アヤネちゃん、ユアちゃん、コタロウ君、ソウシロウ君、エイタ君が 2 位、ユイト君、カナト君、アルト君が 3 位でした。

 勝った人も、負けた人も皆んなよく頑張りした !!

 空手の試合は出場するだけでも大変ですが、出場するごとに、そして試合への挑戦を続けることで少しずつ強くなっていきます。
 今回頑張った皆んな、次の大会を目指して、また頑張りましょう。
 保護者の皆様も、お疲れ様でした。

 また先週の金曜日 (11/17)~日曜日までは、新極真会 2023 ユースジャパン強化合宿が山梨県で行われました。

 ご指導いただいた師範、コーチの皆様、合宿を運営してくださった新極真会総本部事務局の皆様、誠にありがとうございました。

 いつも同行している新極真会徳島北東あわじ支部の皆さん、お疲れ様でした。

 そして今回も引率していただいた新極真会徳島北東あわじ支部の将口先生、お世話になりありがとうございました。

 新極真会徳島西南支部からは 7 名が参加。
今回も例年通りのハードな合宿となり、一昨日の出迎えでは早速、ひどい筋肉痛になっている道場生もいましたが、合宿を終えた表情は皆んな明るく、有意義な合宿だった事が帰りの表情から伺えました。

 参加した皆んな、よく頑張りました !!
 合宿で学んだことを、これからに活かしていきましょう。
 合宿にお子さんを送り出していただいた保護者様の皆様も、新極真会 2023 ユースジャパン強化合宿にご理解を賜りありがとうございました。

 さて、話は変わりますが、我々の全世界空手道連盟の組手の試合規約には、以下の規約が示されています。

 〝反則攻撃を受けた選手が、その攻撃に起因する自然な反応の行動とは異質の、反則を指摘・強調する行為(アピール行為)をしてはならない。このアピール行為が認定された場合は、当該選手に注意 1 が与えられる場合がある。〟

 上記の規約のアピール行為は、虚偽として注意 1 が与えられます。
 試合中に起きる反則では、例えば反則攻撃である喉への攻撃を受けた場合など、痛みに耐えかねるため、とっさに喉を抑えるなどの、反則を受けたがための自然な反応が必然的に起こるものです。

 私は新極真会の大会では、審判業務に従事するものです。
 我々審判員は試合中に起こる反則への反応を見極めなければなりませんが、その反応が虚偽がどうかの見極めは、審判員として不適格かもしれませんが、正直なところ個人的には困難に感じています。
 困難というよりは〝ピンと来ない〟といった方が正確ですが、その理由は「そもそも反則への虚偽のアピールなどは、空手の選手としてあろうものが、するはずはない。」といったことが頭にあるからです。
 そのため胸部上部への突きと見えた被弾でも、喉を抑えた場合「喉に入ったようには見えなくても、見えづらい被弾の一瞬の角度で突きが喉に流れて当たり、それから胸に被弾したのだろう。」などと判断し、「選手は虚偽のアピールなどしない」との観念から、喉を抑えた行為を突きを放った選手の反則とみなす場合があります。

 私は長年の選手経験を経て、現在、審判員を努めています。
 審判においては、選手時代の自身の経験を元にジャッジしています。
 例えば上段回し蹴りにおいては、セーフティールールではクリーンヒットの場合、技有りとなります。
 クリーンヒットであるかどうかの判断は「セーフティールールで使用されているヘッドガードがなかった場合に被弾したとして、ダメージがあるかどうか ?」などと自らの試合経験から鑑みて判断しています。

 自身の選手時代、私は反則への虚偽のアピールなどは、全く頭にありませんでした。
 虚偽どころか、反則である顔面殴打を受けてもダメージがなければ、または軽微であればそのまま試合を続行し、少々の相手の反則などは気にせずに試合をしていました。

 少々の相手の反則などは気にせず、虚偽の反則のアピールなどは頭の片隅にもおかず試合をしていたのは私だけでなく、最近以前のほとんどの選手がそうだった思います。
 しかし「虚偽のアピール」と言われれば、そう疑いたくなる試合をする選手が最近の大会では散見されます。
 その疑いも自分の選手経験に照らし合わせたものから生じますが、顔面殴打を受け相当なダメージを負ったように見えても、相手選手に反則が宣告されるとすぐに「あのような深いダメージを受けて、よくあんなに元気に戦えるな ?」と思うような選手も見受けられます。

 相手選手が反則を取られることは、判定では自分にとって有利に働く場合があります。
 そのため反則があった場合、軽微であっても反則は反則として正し、主張することは、正当なうえに有利な試合展開の流れを作る、試合に勝つための一つのテクニックと言えるものかもしれません。

 正当な試合展開を求めることは許されると思いますが、虚偽のアピールによって有利な試合展開を作ることは、当然ながら許されるものではありません。
 虚偽のアピールは、有利な試合展開を作るための、行き過ぎた試合テクニックを追求することから生じるように思います。
 私は試合展開は相手の反則に乗ずるよりも、自分の心技体でその流れを自分有利とするよう懸命に戦い、そして判定は、よほどのジャッジミスがない限り、審判に委ね、選手、そしてセコンドは口を出すべきではないと思います。
 私のような考えは、試合テクニックをあくまでも追求する人たちとは相容れず、時代錯誤なのかもしれません。

 しかし時代錯誤ながらも、一つだけ主張したいことがあります。
 それは従来の我々の空手の試合では、試合に勝つだけのテクニックを追求する選手など、あまりいなかったということです。

 前述したように少々顔を殴られても、ものともせずに試合を続けることが、我々の空手の選手としては美学とされていました。
 あくまでも試合に勝つためのテクニックを追求する人たちから見れば、そういった美学は愚かしいものかもしれません。
 また試合においては、どんな軽微な反則でも、反則は反則として裁定されることがフェアな試合です。
 しかし、少々の相手の反則は気にしないといった美学は、正々堂々に由来する武道精神です。
 武道としての空手の試合は、勝利の追求を武道精神に正して追求すへぎに思います。

 テクニック ( 技術 ) には、「科学を応用して自然を改変・加工して役立てる技」という意味もあるそうです。
 武道における〝正々堂々〟は自然な武道精神です。

 武道精神に、自然な武道精神を改変するテクニックは不要に思います。
 最近、イヤホンをヘッドガードで分からないように装着して試合をする選手がいると耳にしました。
 セコンドの指示を受け取りやすくするための一つの試合テクニックでしょうが、我々の全世界空手道連盟ルールでは金属類を装着しての試合は禁止されています。
 金属類の装着が禁止さているのは安全性のためですが、イヤホンを装着していて耳に強打を被弾すれば重大な怪我に繋がる場合があります。

 試合テクニックは、その前提として〝ルールを守る〟という、これも当たり前の武道精神のうえに追求すべきに思います。
 新極真会徳島西南支部では、武道精神にのとって試合に挑む道場生の育成を目指して行きたいと思います。

 < お知らせ >
 次の木曜日 (11/23) は祝日のため美馬道場はお休みです。

 次の土曜日 (11/25) の鴨島道場、美馬道場の稽古は以下のとおりの時間変更です。
 鴨島道場…10 時~11 時 30 分
< 少年部・一般部合同、選手クラス、居残りクラスは休講 >
 美馬道場…14 時~15 時 15 分

 また次の土曜日は MIMA イルミネーションという美馬町のイベントで演武を行います。

 17 時から演武を行いますが、ご都合の良い方はご観覧にお越しください。
 11.21.2023 記