空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

 第 7 回全世界ウエイト制空手道選手権大会において見届けたもの、日本人の遺伝子

 ポーランド、キエルツで行われた第 7 回全世界ウエイト制空手道選手権大会関連の海外出張を終え、9/30 ㈮に帰国しました。

 同大会には私は審判参加、そして息子タケルが選手として出場しました。
 息子は 2 回戦敗退でしたが、大会前は息子の実績、実力から考えるに一回戦突破が最大目標でした。
 その目標が達せられ、また世界大会では空手母国日本の威信を示すのが歴代の日本代表選手の責務ですが、その責務を少しは果たすことができ指導者としては一応の安堵を得ました。
 また今大会は息子において、親として見届けるものを心に期してましたが、見届けたものがあったことは親としての喜びとなった大会となりました。

 前述したように世界大会では、空手母国日本の威信を示すのが、我々の空手の歴代の日本代表選手の責務です。
 私もその責務を背負い戦いましたが、今大会では息子と同年代の若い選手が多数出場していました。
 Z 世代と言われる今の若い世代の選手と我々では、個人的に感覚的なジェネレーションギャップを感じることが多々あります。
 世界大会前は Z 世代の若い選手達が空手母国日本の威信への意識があるのか、少し気かがりな面もありました。

 しかし今大会の若い選手達は、JFKO 全国大会などの国内の大会で見るよりも全選手が強かったように思います。
 その強さは空手母国日本の威信を感じ、使命を心に宿し、その使命を自らの責務として戦ったからのように思います。
 太平洋戦争当時などに見られるように使命、責務を力に変えることは日本人の古くからの歴史的性質ですが、私は今大会の若い選手達の国内の大会とは違う強さに日本人の遺伝子を見たように感じました。

 息子にも同様に日本人としての遺伝子を感じましたが、息子は本来気が弱く、意気地の無い人間です。
 高校生から本格的に空手を始めましたが、以来足掛け 6 年、空手において息子を心底情けなく思うことは何度かありました。

 しかし心底情けなく思っても、それで息子を見放したり、人として否定する気持ちは起こらず、逆に親として息子を強くしなければとの思いが高まりました。
 使命や責務を背負い切れず、以前ならば重圧に潰されていたか、逃げ出していた息子に今大会では使命、責務を背負う強さを感じました。
 実際の実力的にはまだまだですが、使命、責務の覚悟からの心の強さが一回戦の勝利をもたらしたように思います。
 大会前「必死で頑張る」と口にしていた息子、その必死さは覚悟となり、私に日本人としての遺伝子を感じさせてくれました。
 私が見届けたものは息子の日本人としての遺伝子であるように思いますが、今大会、少しだけ強くなった息子に親としての責務の一端を果てせたように思います。

 日本人の遺伝子には、強さが組み込まれているように思います。
 空手はその日本人の遺伝子を呼び起こす、最良の手段になり得るものと個人的に思います。
 特に我々の空手の世界大会は日本人の強さの遺伝子が大いに呼び起こされる場となりますが、新極真会徳島西南支部で選手を志す道場生においては、世界大会へと導けるように今日からまた指導者として頑張って行きたいと思います。
 また今大会、息子の覚悟の源になったのは応援してくれた皆さんの存在のお陰です。

 応援してくださった皆様、誠にありがとうございました。
 皆さんの応援に恥じない人間へと、息子はこれからまた精進して参りますので、今後もよろしくお願いいたします。
 10.3.2022 記