空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

空手で経験し、学んだ思いを未来へと紡ぐことのススメ、新極真会徳島西南支部・昇段審査会 2023

 一昨日の日曜日 (12/17) は審査会でした。

 受審した道場生の皆さん、お疲れ様でした。

 審査会の後は忘年会でした。

 たくさんの道場生、保護者の方に参加していただきました。

 参加された皆さん、ありがとうございました。

 また忘年会では、私の五段の昇段祝いをサプライズでしていただきました。

 とても嬉しかったです。
 道場生、保護者の皆様、誠にありがとうございました。

 さて、今回の審査会は昇段審査を行いました。

 今回の昇段審査を受審した 3 名は同学年であり、同じ学年には彼ら以外にも複数の道場生が長年在籍しており、彼らみんなには私が忘れることが出来ない、ある思い出の大会があります。
 その思い出が相まって、今回の昇段審査は個人的に感慨深かったですが、その感慨は審査後の総評でお話しさせてもらいました。

 以下は、審査後の私の話を文体にしたものです。
 今回、昇段審査を受審した旺夏君、十輝君、虎太郎君、彼ら、また彼らの他の同じ学年の道場生に関しては、私は忘れられない、ある大会の思い出があります。
 それは今から 9 年前、ちょうど今の時期に愛媛で行われた第 14 回全四国錬成大会です。

 あの大会、虎太郎君はエントリーしながらも、少しやっかいな病気で入院し出場することができませんでした。
 あの大会は「長期入院することになった虎太郎君の励ましになるために頑張ろう」と、虎太郎君と一緒に稽古していた道場生たちが奮い立ってのぞんだ大会です。
 同じ学年の、虎太郎君がエントリーしていた部門に出場する道場生たちは、特にその思入れが強く「西南支部の誰かが優勝しよう」と頑張りました。
 結果、怜太君が優勝、大輔と旺夏君が 3 位とベスト 4 のうち 3 席を新極真会徳島西南支部が占めました。

 怜太君の決勝の対戦相手は他流派の強豪選手でしたが、一回戦では十輝君が敗れ、準決勝では旺夏君が敗れました。
 怜太君の決勝も延長にもつれ込み、延長も互角の展開が続き、最後は勝ちたい気持ちを全面に出した試合終盤のラッシュで怜太君は勝利しました。
 大会後にある保護者の方が、怜太君が優勝して得た金メダルを入院している虎太郎君に見せに行くと聞きつけ、怜太君の純粋な気持ちに感動し「そうか、自分が頑張って虎太郎君のためにとった金メダル、と見せに行くんやな」と怜太君に問いかけたところ、怜太君は「いや違う」「これは皆んなでとった金メダル、と言って見せるんじゃ」と言ったそうです。

 彼ら、また、あの大会に出場した彼ら以外の学年の違う道場生も今回の審査会には応援、見学に来ていましたが、彼ら皆んなは、あの時、虎太郎君のために頑張りました。

 彼らには、あの時に経験した〝誰かのために頑張る〟という気持ちを、ずっと忘れないでいて欲しいと思います。
 また虎太郎君はあの時、ご家族の支えがあり、そして多くの人の支えもあり病気を克服し、今回、昇段審査に挑戦することができました。
 虎太郎君においては、誰かに支えられた経験を、今度は誰かを支える経験へと変えて欲しいと思います。

 〝誰かのために頑張る〟〝誰かを支える〟という思いを持つことは、子を持つ親になるために必要なことです。
 彼らも皆んな、お父さん、お母さんの頑張りと支えがあり、今日があります。
 彼らも、いずれ親になります。
 実際、あの大会に出場した彼らの中には、今、お母さんになり子育てを頑張っている道場生もいます。

 空手で経験し、そして学んだ〝誰かのために頑張る〟〝誰かを支える〟思いを、自分の未来へと紡いで欲しいと思います。
 私は「期待する」という言葉は、自分の理想を期待する人の都合も考えずに、期待する人に押し付けるようで、あまり使わないようにしています。
 しかし、今回は〝あらねばならない〟という意味合いで、敢えて使いたいと思います。

 あの大会に出場した彼らに〝思いを紡ぐ未来〟を、期待したいと思います。

 また現在、色帯の道場生の皆さんには、ぜひ黒帯を目指して欲しいと思います。
 我々の空手で黒帯になるには長い年月がかかり、そしてたくさんのきつい、苦しい試練を経験しなければなりません。

 しかし、その長い年月と試練からは、かけがえのない経験を得ることが出来ます。
 そのかけがえのない経験は、人生を豊かにしてくれるものです。
 全ての道場生の皆さんに、黒帯を目指して欲しいと思います。
 また保護者の皆様には、お子様のサポートをよろしくお願いしたいと思います。

 改めて今回昇段審査を受審した、旺夏君、十輝君、虎太郎君、昇段おめでとう!!

 12.19.2023 記