空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

試合のススメ、武道性を高める、試合における武道性の高揚

 一昨日 (2/12) の日曜日は、第 2 回香川県空手道選手権大会でした。

 大会を主催された原内師範、香川中央支部のスタッフの皆様、素晴らしい大会に参加させていただきありがとうございました。

 新極真会徳島西南支部からは 35 名がエントリー。
 錬成組手部門でミオちゃん、イロハちゃん、アルト君が優勝、ソウシロウ君が準優勝、リョウマ君が 3 位。

 団体型部門でミツキちゃん、アスマ君、カイト君チームが優勝、個人型部門でカイト君が優勝。

 組手部門でタイシン君、トキ君が優勝でした。


 残念ながら入賞に至らなかった皆んなも、いつも通り良く頑張りました。

 香川県大会の結果を踏まえて、また今週からの稽古に頑張って欲しいと思います。
 保護者の皆様も、お疲れ様でした。

 さて、私は「試合は個人の都合に合わせて挑戦すれば良い」と思っていますが、都合が合うのであれば道場生にはどんどん試合に挑戦して欲しいと思っています。

 道場生に試合を推める理由は、空手の試合は空手の武道性を高めるからです。

 私は〝武道は武士道〟と常々ブログで書いています。
 武道である武士道は美意識であり、人の意識であるゆえに漠然とした面もあります。
 仏教の経典、キリスト教の聖書のようなものは武士道にはなく不文律なものですが、明治後期から昭和初期に教育者、政治家として活躍した新渡戸稲造は不文律な武士道精神を「武士道」という表題の本で著作し、西欧諸国に武士道を紹介しました。
 新渡戸稲造の「武士道」は英文ですが、和訳も出版され、その和訳出版の「武士道」は私も読みました。

 私も読んだはずの、しかも未だに持っている「武士道」には「武士道の中核は〝惻隠の情〟である」と書かれていると ( 恥ずかしながら私の記憶に残っていませんが )、先ごろ読んだ違う本に書かれていました。

 〝惻隠の情〟とは〝哀れに思う気持ち〟〝可哀想であると感じる心持ち〟とネットで調べると出てきます。
 惻隠の情は弱者に対する気持ちや心ですが、武士道では惻隠の情は心に浮かべるだけでなく、情を行動としなければなりません。
 惻隠の情を行動とすることは、空手で言えば私がよくスパーリングの時に喚起する「相手が泣き出したら手加減をする」といったことです。
 惻隠の情を行動とするには、対象の相手より自分が強くなければなりませんが、空手の場合はそれは相手よりも技量・力量が上回れば良く、ある意味簡単です。

 しかし社会で惻隠の情を行動とするには、時には身を切るようなリスクを覚悟をする必要が生じてきます。

 グローバル社会、私が高校生の頃から提唱されている現代社会の進むべき方向性ですが、経済のグローバル化は、富めるものは富み、貧しいものはさらに貧しくなる格差社会を生み出したそうです。
 ある作家は「グローバル社会における格差社会を是正するには、武士道における惻隠の情を人々が持ち、弱者を助けることの出来る人が少々の損害を被っても、弱者を助けなければならない。」といったことを述べ、「武士道精神はこれからの社会の希望になり得る」といったことも述べています。

 私は武士道がこれからの社会の希望になり得ることを、武道の矜持にすべきように思います。

 これからの社会の希望となる武士道、その中核は惻隠の情ですが、惻隠の情には強さと身を切るようなリスクを背負う覚悟が必要です。
 空手の試合、特に我々の空手の試合は、その強さとリスクを背負う覚悟を養うものです。
 リスクにおいては「試合で怪我をするかもしれない」「試合に負けて落ち込むかもしれない」などの様々なリスクを覚悟としてを背負うものですが、様々な覚悟を背負って稽古を重ね試合に挑戦することで、惻隠の情を行動できる強さは身につくものと思います。
 世間一般的に武道という言葉は、単なるお題目として使われる事が多いように個人的に感じたりしますが、武道がどういったものであるかを武道をうたい、志す人たちは明確に示すべきように思います。

 私は繰り返して述べているように、武道とは武士道であり、武道は武士道として社会、特に格差社会の是正を目指すべき、これからの社会の希望となる精神を有するものと思っています。
 その精神は惻隠の情ですが、武道の中核も武士道同様に惻隠の情と思います。
 武道性を高めるとは、惻隠の情を深め、それを社会で行動できるように強さと覚悟を養うことと私は思います。
 強さとリスクへの覚悟が必要な武道性の高揚、試合はその高揚の絶好の機会です。
 新極真会徳島西南支部の道場生には、武道性を高めるために試合に挑戦して欲しいと思います。
 支部内締切りに期日がある直近の試合には、第 40 回全四国空手道選手権大会 ( 支部内締切り 3/3 ㈮ ) があります。

 道場生の皆さん、頑張って四国大会に挑戦しましょう !!
 2.14.2023 記