空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

大食のススメ、「大食は大成を生む」との我々の空手の創始者の言葉

 一昨日の日曜日 (7/30) は、9/3 ㈰に開催される徳島錬成大会のトーナメント編成 1 次作業 ( 仕分け、部門調整 ) でした。
 ご協力いただいた新極真会徳島北東あわじ支部の指導員の皆様、ありがとうございました。

 せっかくお申し込みいただきながらも、対戦相手の不在で廃止せざるを得ない部門もありました。
 部門統合で調整する手段もありますが、廃止した部門は無理な部門調整での不釣り合いの対戦を避ける、選手の安全を第一に考えての廃止です。
 試合が不成立となった部門の選手の皆さんには、せっかくの申込みのところ申し訳ありませんが、ご理解をいただきたいと思います。
 また廃止においては所属長からご連絡いただき、お預かりした参加料は後日返金させていただきます。

 週末の土曜日 (8/29) には、トキ君が関西合同稽古に参加しました。
 ご指導いただいた山田師範、胸を貸していただいた選手の皆様、誠にありがとうございました。

 トキ君、一週間前の DF2023 での敗戦からの出稽古、ボロボロに効かされながらもよく頑張りました。
 〝これからの自分が、これまでの自分を決める〟

 これからの奮起で、これまでの敗戦の意義を深めてほしいと思います。  

 さて先日、ちょっと目を疑うような以下の記事が、徳島新聞に記載されていました。

 記事に書かれてある〝肥満理由のため、中学生の給食のカロリーを減らす〟という肥満対策、中学生の時期は身体の成長にとって一番大切な時期と思いますが、それなのに給食のカロリーを減らすとは、個人的には非常に理解に苦しみます。
 また記事にも書いてありますが、個人的には周りに例がないので実感は薄いですが、子どもの貧困は深刻な社会問題となっているそうです。
 最近、よく見たり、聞いたりする子ども食堂は、子どもの貧困対策がその目的の一つとされています。
 先般には、子どもに食事を与えず体調を悪くさせ、入退院を繰り返して共済金を騙し取る親が逮捕されていました。
 社会から見落とされているかもしれない、貧困などで満足な食事が出来ない子ども達のためにも給食のカロリーを減らすなどは、子どもに対する全体施策としては取るべきでないように思います。

 社会全体で全ての子どもに十分な食事を提供できる社会こそが、豊かな社会としてあるべき一面であり、食が溢れフードロスすら問題になっている今の日本の現代社会では、それは十分に可能に思います。

 子どもにとって十分な食事が必要なのは、子どもの健全な成長のためです。
 健全な子ども達の成長を育まない社会など、不健全にな社会の極みにあるように思います。
 子ども達の健全な成長のためには、食事のカロリーなどはちょっと過多であっても良いと個人的に思います。
 給食のカロリー減らす理由は、子どもの肥満対策とありますが、確かに子どもの肥満は問題です。
 しかし肥満が問題であるのは、肥満は健康の害になるからであり、健康であれば少々の子どもの肥満などは問題ではないと思います。

 肥満対策は必要な部分もあると思いますが、肥満対策の本質は子どもの健康を高めることにあり、健康のための運動への取り組みを一番の肥満対策に掲げるべきに思います。
 子どもの運動不足も問題になっていますが、子どもの肥満対策にはカロリー制限よりも、子どもの運動指導に注力すべきに個人的に思います。

 何冊か著書を読ませていただいた医学博士の養老孟司さんは、著書の中で「脳化社会」という言葉を盛んに使われています。
 「脳化社会」に付随して「今の日本人は身体を忘れてしまっている」とも書かれていますが、「脳化社会」とは〝何でも脳で理解しようとして、身体を使っての実感などから遠ざかる〟といったことと私は理解しています。
 理解に苦しむ給食のカロリー軽減などは、まさに「身体を忘れてしまった、脳化社会」の象徴に私は思います。

 養老孟司さんは「脳化社会」に対して危惧を唱えておられますが、「脳化社会」の一番の危険は物事の本質や根本を見失うことにあるように個人的に思います。
 本質や根本が見失われた社会では、本当の豊かさは得られないように思います。

 また子どもの肥満問題に関して、子ども達の全てが肥満状態にある訳ではありません。
 子ども達の中には食が細いために、身体が小さい子ども達もいます。
 私が指導する道場にも、食が細く身体の小さい道場生がいますが、私は彼らに「まず、しっかり食べて身体を大きしよう」「食べることも稽古」などと食についての指導をよく行います。

 給食のカロリーを減らす施策などは、肥満率などの数字だけで全体を捉えて、子ども達の全体像を捉えていないように思いますが、「脳化社会」における本質と根本を捉えることの欠如が伺えるように思います。

 我々の空手の創始者は「大食は大成を生む」とよく仰られていたそうで、我々の空手ではたくさん食べることが尊ばれます。
 大食からなる大成は色んな意味合いを含みますが、我々の空手の組手・スパーリング ( 自由に技を攻防させる試合、もしくは試合形式の稽古 ) は実際に突き、蹴りを当てる空手です。

 少々の突き、蹴りなどは効かない頑健な身体を作ることも、大食からなる大成には含まれているように個人的に思います。
 実際に突き、蹴りを当てるからこそ、頑健な身体が必要であり〝頑健な身体はたくさん食べることで作られる〟といった本質や根本を、我々の空手は身体を通して実感し、食の大切さを見据えています。 

「脳化社会」に染まらない「身体を忘れない」物事の見方が、我々の空手にはあると思います。
 空手の指導者として「大食は大成を生む」を垂範率先して、道場生にも「大食」をススメて行きたいと思います。

 最近お気に入りの、青柳さんの冷やし中華・揚げ物セット。

 7/28、完食。

 でも、メダボな 51 歳なので、食べ過ぎには気をつけたいかと。
8.1.2023 記