空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

 元首相などの世間で問題となる失言問題で思うこと、認知能力を高めることのススメ 2

 漢字を覚えて書けるようになるには、〝写す〟といった能力が必要になるそうです。
 漢字を図形として捉えて、そのイメージを脳に写し、脳のイメージを紙に写すことから〝写す〟能力が漢字を覚えるには必要のように思います。

 〝写す〟能力は、〝真似る〟能力と同質に思います。
 共に、写すべきもの、真似るべきものを脳にイメージし、書くなりの動作に脳のイメージを作用させるためです。

 空手の稽古には〝真似る〟能力が求められます。
 私などは、特に真似ることを重視し、稽古で見本や手本を真似ることを指導の手段によく用います。
 空手を始めた初心者を見ていると、空手を始めて色んな稽古動作を真似始めて、最初は大まかな真似であっても、真似ることを注意深く重ねていくうちに、細部に渡って真似ることが出来るようになります。

 空手においては、細部に渡って真似ることが出来るようになれば、見本や手本で示す稽古動作の要諦 ( 物事の肝心なところ ) を掴むことが出来ます。
 〝学ぶことは、真似ること〟などと、よく言われますが、〝真似 ( まね )〟は、真似て、真似るべきもの要諦を取得することで〝学び〟になるように思います。
 真似る能力、そして同質の写す能力は、最近、よくブログで書いている認知能力です。

 認知能力は学習の根幹となるものですが、学習 ( 勉強 ) が仕事のようなものである子ども達にあっては、認知能力は大いに高めるべき能力です。
 認知能力は生来だけに左右されるものでなく、トレーニングによって高まります。
 認知能力がトレーニングによって高まることは、空手の本質に沿い、道場生に空手を正しく指導していれば、よく実感できるものです。

 〝数える〟といった認知能力は、計算学習の根幹になるそうです。
 空手の稽古にも〝数える〟能力は必要となりますが、例えば空手では突きを 2 連打、3 連打、4 連打で打つ稽古があります。
 幼稚園くらいの小さい子どもは、数える能力が未熟であり「2 連打で打ちなさい。」と指導しても 3 連打で打ったり、「4 連打で打ちなさい。」と指導すれば 5 連打で打ったりします。
 しかし連打の稽古も重ねていくうちに、小さい子どもであっても数を間違えなくなりますが、そういったことに人の認知能力の向上を実感します。
 空手の稽古は、あらゆるシーンで認知能力の向上に繋がる効果が見られるもので、空手の上達は認知能力の向上、と言っても差し支えないように個人的に思います。

 先のブログで「全ての人が IQ の維持向上を常に心がけるべき」と書きました。
 IQ は知能指数であり、知能指数は認知能力です。
 IQ=認知能力とも言える訳ですが、認知能力は向上するものですが、向上する分、低下する性質も持ち合わせているように思います。

 認知能力が低下することは、近年頻繁に起きている、元首相の失言問題からも伺えるように思います。
 首相を務めたような人物であるならば、本来は優秀な認知能力を持っていたものと思います。

 それが失言を繰り返してる事実は、生来優秀な認知能力を持っていても、認知能力は低下することを如実に物語っているように思います。
 元首相のように失言によって、人間関係を悪くすることは、世間一般人でもよくあることです。
 どんなに優秀な人であっても認知能力は向上する分、低下もするもので、やはり常に人は認知能力の維持向上を心がけるべきに思います。

 認知能力の維持向上のためには、認知能力が学習の根幹であることから〝学ぶ〟ことが手段として最適に思います。

 人は〝何かを学び続ける〟ことで、認知能力を維持向上できるものであり、何よりも〝学ぼう〟と思う真摯な心が、自分の発言を発言前に考慮するような〝不適切な発言をしない〟といった認知能力に繋がるように思います。

 人の様々な能力は、人の心から生じるものに思います。
 それも空手を指導していればよく感じますが、〝学び〟にいたる〝真似る〟にあっては注意深く、真摯な心で真似なければ、学びになりません。
 空手は認知能力の向上に最適な手段であると、最近よく思うところであり、最近の指導では認知能力の向上を特に意識しています。

 認知能力を高める空手に力を入れている私ですが、認知能力を高めるにおいても、心が大切であることを道場生に説いて行きたいと思います。
 そして道場生ばかりでなく、自身の認知能力の維持向上のためにも、自身の学びを心掛けねばならないと思います。
 空手の指導者として、何を学ぶか ?
 学ぶべきことはたくさんあると思いますが、〝空手の本質に沿い、正しい空手を伝えるための学ぶべきもの〟を、学んで行きたいと思います。

6.6.2023 記