空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

放任的指導の効果

 以前は「1 の号令でこう動いて、2 の号令でこう動く」といったように指導していた型稽古の新入会者への指導、今は「皆んなが動くのに合わせて動くように」と新入会者が型の順番を覚えるのに放任的です。


太極1 3.25.2021

 新入会者にとって正に右も左も分からない状況で、簡単に「周りに合わせて動け」と言われてもなかなか大変ことですが…

 その大変さは空手を続けていくことにおいて、後々に多大な効果となります。

 その効果の最大なものは〝自分から覚えよう〟とする受け身の稽古姿勢ではない、積極的な稽古姿勢を身につけることです。

 空手は積極的な姿勢がなければ所詮、身につかないものです。

 積極性こそ空手の稽古で一番大切なことですが、それを空手を学び始めて最初から身につけるようにしています。

 また〝人に合わせて動く〟というモーションは、人がどう動いてるか〟と考える観察眼を養い、その観察眼は技を上辺だけで身につけるのではなく、技を技とたらしめる本質を見抜く目になります。

 等々、放任的指導の後々の稽古への効果はまだまだありますが、「周りに合わせて動け」と言われて最初から上手くいかないのは当然のことであり、無論、それを否定したりはしません。

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 私は指導において何よりも〝周りに合わせて動こうとする〟といった、道場生の素直さを見ています。

 そして素直さを重視し、素直さこそが道場生の可能性と捉えています。

 

 昨日の美馬道場

 少年部クラス(19 時~20 時)


美馬道場少年部3.25.2021

 一般部クラス(20 時15 分~21 時15 分)


美馬道場一般部3.25.2021

 3.26.2021 記

意趣的感情が見られるスパーリング

 少年部クラスでは時折、実力が伯仲しての自然なヒートアップというよりは、突き蹴りに意趣的な感情を感じるスパーリングを目にすることがあります。

 感情的なスパーリングの背景には恐らく、事前に両者の間に感情をさざなみ立てる言動があったものと思いますが、私も一道場生時代に感情的にスパーリングをしたことがあるので何となく分かります。

 そういったスパーリングを目にした場合、私はスパーリングがルール内で行われており、なおかつ危険性が無い限りは別段止めたりしません。

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 空手道場は人格を練り上げていく場所ですが、最初から人格者が集う場所ではありません。

 感情がぶつかりあって言動が淘汰され、そこから練られる人格もあると思います。

 また感情を元とする突き蹴りであっても、それがスパーリングという稽古形態であれば〝暴力〟ではないと個人的に思います。

 空手道場は礼を重んじますが、単なる作法としての礼を身につけるよりも、人の心に通じる礼を身につけるべきと思います。

 感情は心から発するものですが、スパーリングのようにコントロールされた感情の放出は、礼の心を養う手段になると思います。

 

 昨日の鴨島道場

 少年部1 部(17 時45 分~18 時45 分)


鴨島道場少年部1部3.24.2021

 少年部2 部(19 時~20 時)


鴨島道場少年部2部3.24.2021

 一般部(20 時15 分~21 時30 分)


鴨島道場一般部3.24.2021

 3.25.2021 記

好評のネーム入り入賞者メダル、コロナ対策を転じて

 先日の徳島錬成大会での入賞者メダルが出来上がり、今週の稽古から入賞者に渡しています。

 今回のメダルは各個人のネーム入りのオンリーワンメダルです。

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 今回がネーム入りメダルになった経緯は奇しくもコロナ対策が原因ですが、コロナ対策として感染状況により大会中止も想定しており、中止に備えてなるべく経費のかかる準備物は抑えるべく入賞者メダルは大会後の発注となりました。

 トロフィーでなくメダルにしたのも後日発送での破損、送料等を考慮したからです。

 このネーム入りの入賞者メダル、好評を得ています。

 「大会後発注だったら、個人名を入れてあげると喜ぶのでは」と何気なく思ったのですが、喜んでいただき何よりです。

 コロナ禍はまだまだ収束が見込めず、東京近郊の緊急事態宣言が解除になっても徳島においても気を緩めず9 月予定の次回徳島錬成大会、そして日常の道場の運営に講じていかねばと思います。

 コロナ対策は選手、道場生、保護者の皆さんに何かと不便をかけるものですが、今回のメダルのようにその対策にちょっとしたアイディアを加えれば不便によるフラストレーションを少しでも緩和できるように思います。

 そのアイディアは自分の立場や利益を元に発想するより、選手、道場生に喜んでもらえることを考えることが大切だと思いますが、智恵を絞って行きたいと思います。

 ちなみに9月の次回徳島錬成大会の入賞者メダルも、できれば個人ネーム入りにしたいと思います。

 

 昨日の徳島市加茂道場

 少年部クラス(18 時30 分~19 時30 分)


徳島市加茂道場少年部3.23.2021

 一般部クラス(19 時45 分~21 時)


徳島市加茂道場一般部3.23.2021

 3.24.2021 記

指導者が厳しさによる手応えを、勘違いしないために…

 東京出張に伴う私の健康観察期間での休講期間を明け、昨日は10 日ぶりとなる道着に袖を通しての通常稽古での指導。

 久しぶりの通常稽古指導に気持ちが引き締まりました。

 気持ちの引き締まりから指導にも熱が入り、気を抜いての誤りがあれば指導の語調も厳しくなったりしました。

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 語調が厳しくなれば道場生の緊張感が高まり、その緊張感が良い方向に働き稽古での間違いをしなくなったり、動きが良くなったりします。

 厳しさを与えることによる良い方向への道場生の変化に指導の手応えを感じたりしますが、昨日の指導中にふっと思ったのは、〝この手応えを指導者は勘違いしてはならないと…〟。

 厳しさによる手応えを勘違いすれば、それは支配欲となり、支配欲が過剰にエスカレートすれば時折報道されるスポーツ指導者の暴力となるように思います。

 勘違いしないために肝要なのは、厳しさを良い方向へと導くように限度を設けることであり、その限度は道場生の年齢、体力等の条件をよく考慮することと思います。

 指導が限度を超えた時、過剰なエスカレートは発生するように思います。

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 そして指導者が厳しさを与えることを支配欲としないためには、指導者が自分自身をわきまえることが大切であり、そのわきまえ方とは〝自分が人に厳しくできるような厳しいことをしてきたのか?〟に尽きると個人的に思います。

 

 昨日の美馬道場

 少年部クラス(19 時~20 時)


美馬道場少年部2.22.2021

 一般部クラス(20 時15 分~21 時15 分)


美馬道場一般部3.22.2021

 3.23.2021 記

昇段者稽古、〝組手主義〟の再認識

 東京出張に伴う健康観察期間明けの昨日は、4/4 ㈰に行われる昇段審査の受審者向けの昇段者稽古でした。

 稽古内容は基本、移動、型の見直しと確認、

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 そしてスパーリング。


スパーリング3.21.2021


スパーリング2.3.21.2021

 以前の昇段者稽古ではスパーリングは行っていませんでしたが、今回の昇段審査から10 人組手で私は相手をつとめず検分役に徹するため、昇段審査の10 人組手の代わりにスパーリングを行いました。

 今回の昇段審査から審査の主題を変えていこうと思います。

 主題を変えることについては、また改めてブログで書こうと思いますが、10 人組手を検分役に徹することはその変化の一つです。

 主題を変えても西南支部は〝組手主義〟を掲げており、標榜するところに変わりはありません。

 昨日の参加者には、こと空手においては組手を中心に物事を考えるように伝えました。

 基本、移動、型は組手のための基本、移動、型であり、基本、移動、型のどういったことが組手に繋がるのか?

 また対戦相手との接し方においても、自分より強い人とどう組手をするのか、そして自分よりも弱い人組手とどう組手をするのか?

上記、組手に関することを昇段するにあたり今一度考え、そして昇段後にその考えを深めていくことが空手を学ぶ最大の意義になると思います。

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 今回の昇段審査受審者には、西南支部の〝組手主義〟をしっかり認識する審査になることを願います。

 

 <支部内連絡>

 昇段者稽古は次の日曜日(3/28)も行いますが、参加者はスパーリングの準備をしてきて下さい。

 顔面スパーリングは普段稽古している人のみで行います。

 してない人は普通のスパーリングです。

 また本日より、美馬道場、徳島市加茂道場、鴨島道場は稽古再開です。

 3.22.2021 記

上虚下実=体幹の使い方

 先週のスパーリングの1 シーン。


内回し蹴り

 相手の前足への下段回し蹴りを足を軽く後ろに引いて躱し、そのまま切り返しのように内回し蹴りを被弾させています。

 足を引いて躱す動作から内回しを被弾させるまでの体幹部分をスローモーションで見てみると、足を引くときに肩が動いたり、内回しを蹴るときに腰をしゃくるように動かしたりしておらず、体幹部分はほとんど動いていません。 

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 道場生にはよく上段を蹴るとき、上半身を動かさないようにと指導しますが、上半身を動かさないとは添付動画のような体幹の使い方を示しています。

 〝使う〟という言葉の語感には〝動かす〟といったニュアンスが強いですが、〝動かさない〟ことも〝使う〟ことになります。

 体幹は無論〝動かす使い方〝もありますが、〝動かさない使い方〟もあります。

 道場生にはその両方を体得して欲しいと思います。

 

 さて、上虚下実といった言葉がありますが、意味は〝上半身の余分な力みが抜けて、丹田に象徴される下半身に力が充実している状態〟といったことです。

 養生法として使われることが多いようですが、武術的に使われることもあり武術的な意味は様々です。

 大雑把な武術的意味合いとしては〝上半身を空虚のように柔らかく使い、下半身を実利的に使う〟といったことで、虚が実を伴い、実が虚を伴うといった虚・実の相互扶助的な意味としても使われます。

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 上半身を虚とすることとは体幹の使い方だと個人的に思いますが、体幹の使い方が養生法、武術的希望である上虚下実のための重要ポイントの一つであるとも思います。

 体幹の使い方を高めるには、体幹を鍛えることが肝心ですが、昨今は色んな体幹強化の方法を情報として得ることが出来ます。

 道場生には、自ら体幹強化を計る意識を高めて欲しいと思います。

 

 昨日の健康観察トレーニン

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 3.20.2021 記

型・平安3、型の得意な道場生へのはなむけとして

 先週のスパーリングの1 シーン。


ショルダースルー

 私の得意な型・平安3 の肩を使った受けの分解実践。

 スパーリングの相手は今春県外に進学する道場生で、彼は型が得意です。

 型が上手くなるには指導されたことを素直に、そして根気よく体が覚えるまで反復しなければなりません。

 上手くなるのに素直さと根気が必要な型、型は昨今の教育分野で注目されている非認知スキルの体現するものと個人的に思います。

 親元を離れての県外への高校進学、またコロナ禍が重なっては色々と大変なことがあると思いますが、空手で高めた非認知スキルで乗り切り、自分の将来を切り開いて欲しいと思います。

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 スパーリングで平安3 を使ったのは、型の得意な彼へのはなむけとして。

 

 昨日の健康観察トレーニン

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 3.19.2021 記