空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

武道空手から触発される保護者の母性、父性のススメ、第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会

 先週末の土曜、日曜日(5/25・5/26)は、大阪にて第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会が開催されました。

 同大会に私は審判員として参加させていただきましたが、体重別では国内最高峰の素晴らしい大会に参加させていただき、主催された緑JFKO代表理事をはじめする大会関係者の皆様、誠にありがとうございました。

 さて新極真会徳島西南支部からは、桒島十輝初段が選手として出場。


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 結果は初戦敗退でした。

 今大会の桒島初段の出場においては、保護者様の主導で応援バナーをご用意いただいたり、現地での応援に複数の道場生、保護者様にお越しいただいたりと道場生、保護者様からのご厚情が寄せられました。
 桒島初段の指導者として、皆様のご厚情にはとても感謝致しております。

 ご厚情が寄せられたのは第一に桒島初段の人柄によるものですが、私は桒島初段の人柄に保護者の皆様の母性、父性が感応したこともあったように感じました。
 母性、父性は親としての本能や性質ですが、その本質は一人の人間としての子に対する〝理解〟〝許容〟などに思います。

 桒島初段は空手を始めて12年になりますが、今回のご厚情を示していただいた保護者様のお子さん達も桒島初段と同じくらいの年月を道場生として過ごしてきました。
 保護者の皆様におかれては、空手を通してのお子さんへの理解が母性、父性の本質として深まるにつれ、お子さんと共に空手を頑張ってきた桒島初段への理解も深まったように思います。

 私はブログでよく書くように、武道は武士道と認識しています。
 武士道の中核は〝惻隠(そくいん)の情〟とされています。
 〝惻隠の情〟は「庇護を必要とするものへの憐れみ」といった一面がありますが、それは親の子を思う気持ちと同質とされています。

 新極真会徳島西南支部では桒島初段が入会する以前から、稽古中に道場生が嘔吐した時など、私が清掃しようとすると保護者の皆さんが率先して清掃の手伝いをしてくれていました。

 そういった保護者様が、だれかれ問わずに道場生を庇護してくださることは、ずっと今でも続いています。

 〝惻隠の情〟は「惻隠の情は仁の端なり」とも言われ、〝仁〟は五常の徳(以下参照)の最高位を示すものです。

 「徳は最高の人としてのあるべき姿、人間に備わっている良き性質を意味します。 ちなみに徳の内容は「五常の徳」と言って、仁(思いやり)、義(正義)、礼(秩序)、智(智恵)、信(言行一致)という5つに分かれています。 孔子はこの五常の徳の中で仁が一番徳の高い、大事なものだと言っています。」

 〝惻隠の情〟は〝仁〟でもありますが、〝仁〟は人の徳として、ひろやかであるべきものに思います。
 「モンスターペアレント」という言葉が聞かれるようになって久しいですが、現在の学校問題の多くはモンスターペアレントに起因しているように思います。
 個人的にモンスターペアレントは、我が子のみに固執するような、人の徳としての〝仁〟が母性、父性から欠落した人たちのように思います。

 新極真会徳島西南支部は、武道空手を標榜してます。

 武道としての空手道場は、武道が武士道ゆえに〝仁〟としての〝惻隠の情〟が介在するコミュニティであるべきと思います。
 現在の空手道場は少年部道場生が多く、試合などのイベントを通じて道場生の保護者がお子さんの空手に多方面で関わってきます。
 武道としての空手道場は、稽古する道場生以外にも武道精神を示し、その精神を波及する場であるべきと思います。

 武道としての空手道場においては、道場生の保護者においても、子の空手への理解が深まるにつれ〝仁〟そして〝惻隠の情〟による良質な母性、父性が触発される場に思います。
 今回の桒島初段への新極真会徳島西南支部の保護者様のご厚情には、感謝と共に武道としての空手道場である新極真会徳島西南支部の矜持も感じさせていただきました。
 今後もこの矜持を胸に、道場生への指導に鋭意努力し、全日本フルコンタクト空手道選手権大会のような大きな舞台に立つ選手の育成を目指していきたいと思います。

 改めて保護者の皆様、ありがとうございました。

 さて桒島初段、対戦相手は出場した階級の優勝者となった格上の選手でした。
 大差での敗退は当然ですが、試合で反則を2回犯した事は、今回の大きな失点です。
 本人が感じている以上に、緊張があり、技が雑になったと思いますが、反則を含めてチャンピオンとの大きな実力差が感じられた試合からはたくさんの、そして、とても意義のある課題が得られました。

 当然的な大差、失点を犯しての敗退となった桒島初段の全日本初舞台ですが、舞台に立つまで、そして初舞台での桒島初段は勇敢であったと思います。
 時には試合で屈辱的な失点し、失点からたくさんの課題を抱え、そして勇敢に次の試合に向かって稽古を続けて、桒島初段はここまで来ました。
 これから受験のため一旦試合からは遠ざかりますが、空手での〝試合での失点→課題の抽出→次に向かっての稽古〟の長年のサイクルは桒島初段の心に勇敢な武道の心を灯したと思います。

 また、この舞台を目指して頑張って欲しいと思います。

 とっくん、第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会、よく頑張りました!!
 桒島家の皆様も、第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会、お疲れ様でした。
 5.28.2024 記