空手のススメ、徳島の田舎道場から

written by 逢坂祐一郎(新極真会 第8回世界大会 2位)

稽古でしっかりリアクションすることのススメ、自分の意志に反応する身体づくり

 ブログでよく書くことですが〝見る力〟〝聞く力〟〝想像する力〟などに代表される、認知能力という概念があります。
 子どもの学習能力の根幹となる能力であり、凶悪犯罪を引き起こす少年犯罪者は認知能力が総じて低い傾向にあり、認知能力の向上は子どもの健全な発育においての最重要課題とされています。

 〝見る力〟〝聞く力〟〝想像する力〟の認知能力、文字面を見るに〝力〟の文字がたくさん見られますが、認知能力は〝力〟の概念とも言えるように思います。

 〝力〟は実際に物を持ち上げるような物理的、そして認知能力のように概念的に存在します。
 物理的、概念的を問わず人間にまつわる〝力〟は養われ、高まるものですが、〝力〟の養成、強化は、何かしらへの反応から生じるものと個人的に思います。
 物理的な人間の〝力〟は、例えばバーベルような重たい物を持つことで養成、強化されます。

 バーベルを持つという動作は、身体の反応ですが、その反応は「力をつけたい」という内面的な意志から起こるものです。
 身体の反応は内面的な意志から生じるものですが、逆説的に自分の意志は、自分の意志に反応する身体がなければ成就しないように思います。
 認知能力は概念的な〝力〟ですが、例えば〝見る力〟は黒板に書かれた文字を見て、正確にノートに書き写し、記憶するような概念的であっても身体の反応による〝力〟です。

 子ども達の意志は、身体の成長に伴う内面的な心の成長とともに成熟し顕在化しますが、心の成長、成熟ともに子ども達の意志は、自分の幸せを求めて自分の夢や希望を追うようになります。

 しかし、自分の意志に反応する身体がなければ、夢や希望を追うために必要な行動が伴わず、その意志は遂げられないように思います。
 自分の意志で「見よう」と思っても、見たいものを視野に収め、記憶に止めるなどの身体の反応がなければ、例え、見たいものが目に映っても、本質的に「見る」ことは能わないものと思います。
 意志に反応する身体は、反応の感度の違いが個々にあるように思いますが、意志に反応する身体は訓練によって一様に高まるものと思います。

 認知能力は自分の意志に反応する身体の作用としての一面があり、意志に反応する身体づくりの観点からも、子どもの健全な発育においての最重要課題となるものに思います。

 子ども達を中心とした道場生の認知能力の向上は、空手指導者として私が重視する指導指針の一つですが、稽古においては具体的に下記のような反応(以下、リアクション)を子ども達から引き出し、認知能力の向上を図っています。

 〝見る力〟を養うためのリアクション、真似をすること。
 私は稽古では手本となる人の動作を真似て、手本の人と同じように稽古動作を行うこと重視して指導します。


 初心者や年齢の幼い道場生には手本と全然違っていても、咎めたり、細かく修正したりしませんが、誤っていても真似て身体を動かすこと自体が〝見る力〟を養うリアクションになると思います。
 真似るリアクションは〝見る力〟を養うリアクションと、私が指導する稽古では位置付けています。

 〝聞く力〟を養うためのリアクション、聞くことからの確認で稽古動作を誤らないようにする。
 私は年齢の幼い道場生には、「左手はどっち ? 右手はどっち ?」と左右を確認し、「それでは左、右とワンツーパンチを打ってください。」などと、なるべく指示する指導内容に確認を加えます。

 指導内容の指示を聞いて確認のもとに、誤らずに稽古動作を行うことは〝聞く力〟を養うリアクションになると思います。
 確認のもとに行う正しいリアクションは〝聞く力〟を養うリアクションと、私が指導する稽古では位置付けています。

 〝想像する力〟を養うためのリアクション、動作にイメージを伴わせる。
 私はディフェンス練習を重視しますが、受け返し棒と名付けた発泡ポリエチレンの棒を用い、ペアとなって受け返し棒を持っているものが、ペアの相手の顔を打ち、打たれる側は自分の顔に襲来する受け返し棒を上段回し蹴りとイメージしてブロックする、などの稽古をよく指導しています。

 初心者でイメージが未熟な道場生は顔を打たれたりしますが、稽古を重ねるにつれ上段回し蹴りのイメージが整い、次第にタイミング良くブロック出来るようになります。
 イメージからのリアクションは〝想像する力〟を養うものと思います。
 リアクションは動作となりますが、動作にイメージが伴うリアクションは〝想像する力〟を養うリアクションと、私が指導する稽古では位置付けています。

 新極真会徳島西南支部の道場生には、種々の稽古でしっかりとリアクションを示して欲しいと思いますが、稽古でのリアクションは自分の意志に反応する身体づくりとなるものです。

 自分の身体が、自分の意志に反応するか、どうかは、その人の人生を大きく左右する要因になると思います。
 悩みを抱える人の中には「自分の思いに、自分の行動が伴わない」などと、口にする人もいます。
 新極真会徳島西南支部では、自分の意志(思い)に反応(行動)する身体づくりとして、道場生のリアクションをしっかりと引き出す稽古指導を心掛けたいと思います。

 < ご案内>【新極真会徳島西南支部、道場生・保護者様対象】
 現在、支部内で新しい徳島西南支部Tシャツの購入案内をしています。

 購入は任意であり、義務ではありません。
 ただし、在庫は用意致しませんので、購入はこの機会のみとなります。
 申込み期間は6/12㈬までとなっています。
 購入希望の道場生の皆さんは、期間内までにお申込みをお願い致します。

 6.4.2024 記